報告書:見えないものを管理するナノテクノロジーへの機会と挑戦 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・2014年 スウェーデン自然保護協会(SSNC)
報告書:見えないものを管理するナノテクノロジーへの機会と挑戦

情報源:The Swedish Society for Nature Conservation (SSNC), 2014
Report: Managing the unseen - opportunities and challenges with nanotechnology
Author: David Azolay, lead author, Center For International Environmental Law (CIEL), Geneva office
Co-author: Baskut Tuncak, Center For International Environmental Law (CIEL), Washington DC office
http://www.naturskyddsforeningen.se/sites/default/files/dokument-media/rapporter/Rapport%20Nano.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年7月13日 (まえがき、序説)
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/europe/SSNC_2014_Report_Managing_the_unseen.html

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 内容

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まえがき
序説
1. 定義についての疑問
2. 早期の警告と報告された懸念
2.1 毒性 2.1.1発がん性の証拠
2.1.2 肺への影響の証拠
2.1.3 内分泌かく乱作用
2.1.4 生殖毒性
2.1.5 心血管系への影響
2.2 生態毒性と生態濃縮
2.3 規制におけるナノ物質の有害性評価 2.4 倫理的検討
3. 製品と市場
4. ナノ物質の管理のための規制の取組み
4.1 ナノテクノロジー・ガバナンスへの世界のアプローチ
4.2 『南』のナノテクノロジーとナノ物質のためのナノガバナンスと規制の枠組み
4.3 EU における規制の状況
4.3.1 ナノ特定条項を含むEUの分野規制
4.3.2 REACH とナノの議論
5. 結論と勧告
添付 1 : ナノ応用を示すテーブル
参照


 まえがき
 ナノテクノロジーは、ナノスケール(10億分の1メートルのスケールの物理的粒子径)でのエンジニアリングのための総称である。

その目的は、例えば、化学におけるより高い反応、物理学における光学的及び電気的特性、及び、生物学における細胞や器官中のあるバリアを通過する能力など生物系との相互作用などに関して、新たな特性を持った物質を生成することである。

それは社会に対して多くの有望な応用を約束する急速に発展する科学の分野であり、例えば、発電と蓄電、自動車の安全性と燃費を潜在的に改善する非常に強くて軽い材料の製造、新しいタイプの薬、拒絶反応を起こさない医療用インプラント、及び医療用画像システムなどにおけるエンジニアリングである。

 しかし、国際的に標準化され調和のとれたナノ物質の定義、ナノ物質検出のための試料調製手法、そして毒性学的及び生態毒性学的リスク評価手法の欠如が、現在、ナノ物質の適切なリスク評価データの生成を著しく阻害している。

順法性を監視するためのそのような情報とツールなしには、法令でナノ物質に適切に対応することは不可能である。

 同時に、利用可能なデータは、ナノ物質により引き起こされるリスク(脚注1)は、バルク物質(同一物質であるが、ナノサイズではないもの)によりもたらされるものとは異なるかもしれないことを示唆している。

ナノ物質は従来のバルク物質よりその容積当たりの表面積が大きく、そのことがしばしば、化学的及び物理的特性を変え、その結果、異なる有害性(hazards)(脚注2)をもたらす。

 この報告書は、ナノテクノロジーのむずかしさ、リスク及び可能性を論じる。著者は、特に、現在のナノ物質の定義に関する議論、及び現在、世界中の市場に出ているナノ物質を含有する製品の存在に関する知識の欠如に目を向け、国際的、地域的及び国家におけるナノ物質の管理に関するいくつかの規制的取り組みをレビューする。

その意図は、ナノ物質の科学及び規制の分野における現在の状況の完全で深いレビューをすることではなく、関心を持つ公衆及び政策策定者にこの話題の概要を提供することにある。

この報告書はスウェーデンで刊行され、またスウェーデン自然保護協会(SSNC)の海外のパートナー組織に配布されるであろう。