たばこ煙にさらされることからの保護の基礎となる原則および関連する定義の記述
原則
WHO枠組条約第4条で言及するとおり、たばこ煙にさらされることからすべての人を保護する対策を講じるには、強力な政治的決意が必要である。
合意により定められた以下の原則を、枠組条約第8条の実施の指針とする。
原則1
WHO枠組条約で言及するとおり、たばこ煙にさらされることから保護するための効果的な対策としては、100%の無煙環境を作り出すため、特定の空間または環境から喫煙とたばこ煙を完全に排除しなければならない。
たばこ煙にさらされることについては安全なレベルというものはなく、二次喫煙の煙の毒性についての閾値などの概念は、科学的証拠と矛盾するため受け入れられない。
換気、空気濾過、喫煙指定区域の使用(専用の換気装置の有無にかかわらず)など、100%の無煙環境以外のアプローチには効果がないことが繰り返し示されている。
また、技術工学的アプローチではたばこ煙にさらされることから保護できない、という科学的あるいはその他の決定的な証拠が存在する。
原則2
たばこ煙にさらされることから全ての人が保護されるべきである。
屋内の職場および屋内の公共の場はすべて禁煙とすべきである。
原則3
たばこ煙にさらされることから人々を保護するための立法措置が必要である。
自由意志による禁煙政策には効果がなく、十分な保護が与えられないことが繰り返し示されている。
効果を上げるためには、法律は単純明快で、かつ強制力を持たなければならない。
原則4
禁煙法をうまく実施し施行するためには、優れた企画と十分な資源が不可欠である。
原則5
市民社会は、禁煙政策への支持を確立し、それを確実に遵守する上で中心的な役割を果たすものであり、法案の策定、実施、施行の過程に、能動的な当事者として参加を仰ぐべきである。
原則6
禁煙法の実施、施行、およびその影響はすべて記録し評価すべきである。これには、WHO枠組条約第20条4項に定めるとおり、法律の実施および施行を弱体化させるたばこ業界の活動の監視とそれに対する対応も含まれるべきである。
原則7
たばこ煙にさらされることから人々を保護することは、必要に応じて強化し拡大すべきである。
かかる処置には、新法または修正法の制定や施行の改善、あるいは新しい科学的証拠や事例研究の経験を反映させたその他の対策も含まれる場合がある。
定義
法律の策定においては、主要な用語を注意深く定義することが重要である。多くの国の経験をもとに、適切な定義についていくつかの提言をここに示している。
本項における定義は、すでにWHO枠組条約に盛り込まれた定義を補完するものである。