化学物質による健康被害と環境影響を最小化する2020 年目標実現のために | 化学物質過敏症 runのブログ

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記念講演その2
環境化学物質と個人の感受性?子どもを中心として
化学物質による健康被害と環境影響を最小化する2020 年目標実現のために
東海大学医学部
生体構造機能学領域
坂 部  貢
坂部貢先生は、化学物質過敏症の日本では数少ない専門家として、厚労省ではシックハウスの基準の制定に参加し、環境省では長い間、微量化学物質による健康影響を検討する研究班のとりまとめを担当されております。今回は、増加する子どもの発達障害と微量化学物質の影響についてお話いただきました。

以下に、先生の講演を紹介いたします。
1、環境要因と遺伝要因の交絡
 疾病は、環境要因と遺伝的要因とが混ざり合っています。図1に示すように環境要因としては、生物的要因(ウイルス、虫さされ)、化学的要因(化学物質による被害)、物理的要因(電磁波、光、騒音など)、心理社会的要因などがあり、それに加えて遺伝的因子、栄養学的因子、時間的因子(老化、生活リズム、ストレス頻度など)があります。これらに適応する人には健康障害はおきません。

病気になるか、適応・馴化するかは紙一重です。しかし、遺伝子が1000年やそこらで急激に変わることはないので、最近急激に増加してきている病気は、環境要因と考えて良いと考えられます。


2

 アメリカのアリゾナ大学のミラー先生が「TILT」という考え方を提唱されています。


3

図2の氷山のように、疾病は、実際にはその下に多くの問題を抱えています。

しかし、一般の医者は氷山の上に出ている部分しか診ていません。患者本人も、マスキングされていて気がつかないのです。
 
3

図3に示すように、人はさまざまな経路から有害物質を体内に取り入れています。

食べ物の中には、有害物質や農薬が含まれています。大気からは呼吸
を通じて有害物質を体内に取り入れます。乳児は母乳を通し、体内に有害物質を取り入れます。

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 図4に有機塩素系農薬の臍帯中濃度と母体血中濃度との相関を、図5に出生子数による臍帯血中総PCB類濃度の変化を示します。

胎児は、胎盤を通して母親の体内の毒物を吸収しますので、この図のように、長子の方が臍帯血中PCB濃度が高くなります。

このことは胎児性水俣病でよく知られていることです。

長子にアレルギーなどの疾患が起こりやすいのはこのせいだという医者もいます。

なお、この二つの図は千葉大学の森千里先生らの論文によるものです。