漢方薬の毒性:歴史から判ること | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
・漢方薬の毒性:歴史から判ること
Toxicity of the Chinese herb Mu Tong (Aristolochia manshuriensis). What history tells us

Adverse Drug Reactions and Toxicological Reviews 21: 171-177 (2002)


代替医療薬, 健康補助薬として漢方薬は西欧でも人気上昇中である.

副作用がないというのが注目を集めている大きな理由である.

中国の生薬は一般に多世紀にわたる経験によって安全性が確立されているが, 時に副作用が発生している.

Mu Tong (木通:モクツウ) による腎障害がベルギー, フランス, 日本, 英国, ドイツで報告されている. Mu Tong は中国産薬草 Aristolochia manshuriensis (ウマノスズクサ) を主成分としている.
 AD 220年ごろに出された Shen Nong Ben Cao Jing (「神農本草経」) では, 薬草を上中下に分類し, 下位のものほど有害な作用を起こすことが多いことを示している.

その方式は現代の中国薬局方にも受け継がれ, 毒性の強弱による薬草の分類が示されている.
 Mu Tong は漢方の記載では, 毒性の強いものとはされていないが, 西欧にもたらされるとまもなく腎障害が多発した.

歴史的に見ると, かつての Mu Tong は現代のものと異なり, 少なくとも17世紀には Akebia (アケビ:蔓の部分を輪切りにしたものを日本薬局方モクツウとする) が用いられてきたが, 後に Clematis が, さらに1950年以降 Aristolochia が用いられるようになった.

Clematis armendii や Akebia quinata のアルコール抽出物はマウスに最大可能量を投与しても毒性は現れなかった. Ariastolochia manshuriensis の抽出物はマウスに毒性を発現し, 経口 LD50 は 15.5 ± 0.6 g/kg (原料換算か) であった.
 中国薬局方の次の版からは Mu Tong はAkebia に代わる予定である. (長い経験による安全性というのは, 完全とはいえず, このような事例もある.)

Zhu Y-P
(Groningen 大学 Hwa To 中国医薬センター, Groningen, The Netherlands)


runより:漢方薬は弱い、安全度が高いと認識される事が多いですが新薬より強い物もあるので注意が必要です。