PM2.5と1日の死亡数の統計学的関係 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
・PM2.5と1日の死亡数の統計学的関係
The concentration-response relation between PM2.5 and daily deaths

Environmental Health Perspective 110: 1025-1029 (2002)


 過去10年間, 一連の研究で大気中浮遊粒子濃度と1日の死亡数の関連が報告されてきた.

これらの研究による回帰係数から, 米国で浮遊粒子によって年間50~100,000件の死亡を早めたと算定される.

欧州の研究でも同様である.

また, 最近の研究で, 死亡数は, 粗い粒子 (直径 2.5~10 _m; PM2.5-10) ではなく, 微細粒子 (直径 ≤ 2.5 _m; PM2.5) と関連があることが示され, PM2.5 の2日間の平均濃度が 10 _m/m3 上昇すると, 1日の死亡数が1.5%増加するとされた.

これらの粒子の発生源は,交通機関排ガス, 石炭および燃料油の燃焼により発生する粒子のほかに, 微細粉末化した道路の粉塵, 土壌も含まれている.

このうち, 排ガス, 石炭, 蒸留残油の燃焼による粒子に死亡率増加との相関が認められた.

ただし, これらの研究は, 濃度-反応 (1日の死亡数) や粒子成分-反応が直線関係であると前提していた.
 この濃度-反応関係の前提は, 公衆衛生調査において重要であり, 近年, 濃度-反応の形, 特に低濃度時の形が注目されており, 閾値の存在が推測されている.

最近の3報の論文では, 直径が 10 _m 以下の粒子 (PM10) は, 閾値無しに1日の死亡数と関連があると報告している.

これらの結果で濃度-反応が線型関係であったのは, 個々の都市のデータを回帰スプライン法またはノンパラメトリック平滑化を用い濃度-反応曲線を描き, 複数の都市の結果を併せたためと推測される.

また, PM10 に含まれる PM2.5 については, これらの研究では考慮されていなかった.

そこで, 1979年~1980年代後半の米国6都市での PM2.5 の大気中濃度と1日の死亡数の曲線関係を調査した.
 各都市の1日の死亡数と発生源別の微細粒子濃度の関係を, 季節と天候, 曜日で調整する平滑化関数を含むポアソン回帰法で分析した.

次に各都市や微細粒子発生源の不均一性を考慮した階層的手法で各都市の濃度-反応曲線を融合した.

その結果, 死亡数と PM2.5 濃度の閾値無しの直線関係が認められた.

また, 微細粒子発生源別でも, 濃度-反応関係は直線的で閾値は認められなかった.
 これらの結果は, 前述の PM10 を測定した調査と同様の結果であり, 濃度-反応関係が低濃度の時も成立することを示した.

これは, 交通排ガスが発生源の PM2.5 濃度が 1 _g/m3 増加した場合, 年間7,000人の死亡を早める可能性を示唆している.

Schwartz J1,2,3, Laden F1,3, Zanobetti A1
(Harvard 大学 1 公衆衛生学部 環境衛生学 環境疫学プログラム, 2 公衆衛生学部 環境衛生学, 3 Bringham and Women's 病院 Channing 実験室および医学部 医学科, Boston, MA, USA)