・出展:環境省HP
http://www.env.go.jp/
https://www.env.go.jp/air/dss/torikumi/chosa/rep5/01.pdf
・黄砂実態解明調査報告書(平成15~24年度)
平成26年3月
環 境 省
報告書の要旨
1.調査目的
環境省では、黄砂の飛来実態を科学的に把握するため、黄砂飛来時に国内の複数地点で一斉にエアロゾルを捕集し化学成分の分析を行うなど黄砂実態解明調査を実施している。
本報告書は、平成24(2012)年度の結果を整理するとともに、平成15(2003)年度から平成24(2012)年度の黄砂について、その状況をとりまとめたものである。
2.調査方法
2.1. 黄砂の飛来状況
平成15(2003)年度から平成24(2012)年度の気象台発表の黄砂日について、経年変化、観測地点別の飛来回数などを整理した。
また、平成15(2003)年から平成24(2012)年の黄砂観測日の都道府県におけるSPM平均濃度に黄砂日数を乗じたものについても整理した。
2.2.平成24(2012)年度の成分分析
2.2.1.調査期間と調査地点
平成24(2012)年度の黄砂飛来シーズンで日本に黄砂の飛来が予想される日を中心に採取された。
調査地点は以下の5地点である。
国設新潟巻酸性雨測定所 (新潟県)、富山県環境科学センター (富山県)
国設松江大気環境測定所 (島根県)、福岡県保健環境研究所 (福岡県)
長崎県環境保健研究センター(長崎県) 計5地点
2.2.2.エアロゾル捕集方法
以下の2方法により、基本的に24時間単位で2日間連続捕集を行った。
1)ハイボリウムサンプラー(HV)浮遊粉じん濃度、金属成分、PAHsの捕集
2)二段型ローボリウムサンプラー(LV)2.5μm以下のイオン成分の捕集
2.2.3.分析項目
エアロゾルの重量(浮遊粉じん濃度)及び微小粒子(PM2.5)重量濃度を測定したほか、金属成分8項目、イオン成分8項目、PAHs成分11項目を分析した。
2.3.黄砂の把握方法
黄砂の特徴を解析するため、各黄砂事例を対象に、黄砂観測地点、気象概況(天気図、大陸での砂塵嵐の発生)、SPM濃度全国分布、後方流跡線、CFORS(Chemical weather FORecasting System)の予測結果、ライダー観測結果、PM2.5日平均値分布、PM2.5/SPM比、硫酸イオン濃度などについて整理した。
3.黄砂の飛来状況
3.1.気象台発表の黄砂日
平成15(2003)年度から平成24(2012)年度までの気象台発表黄砂日数は、平成15(2003)年度から平成17(2005)年度まで年々増加していたが、平成20(2008)、平成21(2009)年度と減少し、平成22(2010)年度に再び増加した。
しかし、平成23(2011)、平成24(2012)年度は再び減少している。
観測地点毎の黄砂日数では、上位は九州、中国地方が占めており、九州、中国地方への黄砂の影響の大きさを示している。
3.2.黄砂日のSPM濃度
黄砂観測日における都道府県ごとのSPM平均濃度、及び都道府県ごとの同平均濃度に気象台の黄砂観測日数を乗じたものを地図上に示した。
この図から、黄砂日のSPMの平均濃度は、西日本の方が北・東日本よりも相対的に高濃度であることがわかる。
3.3.気象台煙霧の観測状況
平成15(2003)年度から平成24(2012)年度までの10年間について、気象台観測の煙霧日の年間延べ日数を示した。
煙霧は平成17(2005)年度を最高に、それ以降は減少の傾向が続いている。
煙霧延べ日数の経月変化は、全国では4~7月が多く、12、1月が少なくなっている。
地域別では、関東では7、8月に九州と比較して多くなっている。
観測地点毎の煙霧日数では、関東・関西の都市が多くなっている。
3.4.平成24(2012)年度の黄砂飛来状況
平成24(2012)年度に気象台が観測した黄砂は21日で、連続した日をまとめると10事例となった。
観測地点が最も多かったのは、平成24(2013)年3月9日で31地点、続いて3月20日の29地点である。
この10事例について、SPM濃度分布、後方流跡線、CFORS、ライダー黄砂消散係数、硫酸イオン濃度などのデータを整理して分類したところ、単純黄砂4事例、混在黄砂6事例となった。
なお、単純黄砂は硫酸塩エアロゾルの存在が少ない黄砂、混在黄砂は硫酸イオン濃度の上昇があり、硫酸塩エアロゾルが黄砂に混在しているものとした。