悲しい状況での楽しいイベント
ここで、私はこのようなつらい状況の中で、コペンハーゲンの中心部で行なわれた5月12日の国際MCS意識向上デーでの、私たちの楽しいMCSイベントの状況をお伝えしたいと思います。
デンマークでは、他の多くの国と同様に、MCSはまだ、化学物質によって引き起こされる真の身体的疾病とは認められていません。
デンマーク国家保健庁(Danish National Board of Health)は、MCSは疾病ではなく、空気中に浮遊する様々な化学物質により、人々が病気になったと"信じる"又は”感じる”、”状況”であるという立場をとっています。
したがって、MCS患者は時には精神科医により精神的な疾病、典型的には”身体表現性障害(somatoform disorder)”、すなわち全て精神的なものであると誤診されます。
訳注2:身体表現性障害(慶応義塾大学病院)
患者の訴えに見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的な症状が長い期間にわたって存在する病気。
デンマーク化学物質過敏症研究センターは MCS 患者の”精神的な要因”に注目
2006年にデンマーク化学物質過敏症研究センター(Danish Research Center for Chemical Sensitivities)は、デンマーク環境省の取り組みとして設立されました。
その後すぐに、この研究センターの設立目的は、あたかも環境をMCSを引き起こす責任から放免することであるということがわかりました。
患者らは、当時の研究所長ジェスパー・エルベリング博士が、繰り返し、環境はおそらくこの問題については無罪であるという発表を何度も聞きました。
この研究センターのスタッフの中には、毒性学者や環境医学の専門家がいませんでした。
その代わり、新たな研究所長、元看護士シン・スコブジェルグ博士と彼女のスタッフらは、患者の中の様々な”心理的要因”を調査し、報告書を作成することに注力しています。
彼女の見解は、MCSは、”身体表現性障害”として研究され、MCSはいわゆる瞑想認識療法(mindfulness-based cognitive therapy)によって治療することができるというものです。