身の回りの多くの生活用品に使われている有機顔料にPCB:3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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Q では、どうして最近になって、日本で有機顔料にPCBが含まれていることが問題となったのでしょうか。

A 国際的な組織であるETAD(染料・有機顔料製造者生態学毒性学協会)で、有機顔料の製造過程でPCBが生成されることがあるという報告が公表され、化成品工業協会加盟各社が自主的に調査し、PCBが生成されていることが確認され、経産省に報告をしたことがきっかけとなりました。

Q 今後は、どういう対策が求められるのでしょうか。
A まず、PCB分析法を国際的に統一することが求められます。

PCBの分析法は国によって異なっており、日本ではPCBの異性体全体を分析する手法が一般的であるのに対して、欧州や中国ではPCB製品に含まれる主要な異性体のみを分析して定量します。
 すなわち、諸外国では、209種のPCB異性体の中から通常製品に含まれる主要な異性体のみ数種類を実際に分析し、PCB製品に占めるその存在割合から、係数をかけて全体のPCBの値を算出します。
このような手法では、顔料の場合のように、製造過程で非意図的に生成されてしまう特異な異性体を含有する場合には、実際の値と算出された値に大きな誤差が生じてしまい、非常に高濃度の試料であってもPCBが不検出と報告されてしまうことがありえるのです。
 アゾ顔料のように、通常のPCB製品には含まれないPCB#11という異性体が、特異的に高濃度に含まれる場合には、日本では正確に測定できるのに対し不検出と報告されてしまう可能性があります。
 また、有機顔料の製造の際に、さまざまな「利用可能な最良の技術( B A T:Best AvailableTechniques)」や、「環境のための最良の慣行(BEP:Best Environmental Practices)」を活用し、化学合成の過程を適正に管理することによって、PCBの発生を抑制していくことが必要です。

(2013年1月20日のインタビューに基づき、広報委員で構成しました)
1 中野武, 松村千里, 角谷直哉, 山本耕司, 福嶋実, 第10 回環境化学討論会講演要旨集,2001,P-281
2 角谷直哉, 山本耕司, 福嶋実, 松村千里, 中野武, 第10 回環境化学討論会講演要旨集,2001,P-282
3 Simon Litten, Brian Fowler, Diane Luszniak,Chemosphere, 2002, 46, 1457–1459
4 Anezaki, K, Takahashi, G, Tawara, K, Nakano, T,Organohalogen compounds, 2012, 74, 1433-1436
5 PCBs Human and Environmental Disposition andToxicology, Takeshi Nakano, Yoshimasa Konishi, ReiMasho, イリノイ大学出版部 ISBN 978-0-252-03254-7


runより:土壌汚染で悪名高いPCBを化粧品に使っていたとは驚きです。

何かもうね・・・知るのが怖くなる時ってありますよ。