WHO とMCS/EHS患者・支援者団体との会議概要:3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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 ネイラ博士は、時間的制約のためマルケス博士の話はここまでとし、次にWHO 統計部門のICDコーディネータであるウスツン博士に発言をさせた。

 ウスツン博士:1948年以来、WHOは国際疾病分類に責任があり10年毎に分類の見直しを行なってきた。

現在、WHOは2015年までに完成すべく次のレビュー作業を行なっている。

 WHOは、ある疾病と環境問題との間に存在する関連いついて承知している。

現在、ある疾病について含めるか/含めないかに関する激しい議論があり、WHOは現在起きている論争を認識している。

 2010年版は、ある専門家グループによって作成された。2001~2009年の年次レビューは締約国の保健省の出席の下に専門家グループによって行なわれた。

このモデルは、国の代表だけが参加することができ、その提案は実際の必要に対応していないと言われ、広く批判された。

我々は作業の方法論を見直し、一方、必要性を尊重し、仮想のプラットフォームを通じて公衆の参加を許した。

 ICDは、科学的証拠の文書であり、発表された科学的研究について、非常に明確な方法論に従って検証している。

いくつかの要件は、因果関係、病因論、診断テストなどである。

 ネイラ博士(WHO)が発言して、代表委員会(我々の代表)によって提供される文書はこの方法論に従うべきであると説明した。

 ラフェンテ博士は、基本的科学における彼の経験から、両方の疾病(MCS と EHS)が認知され、ICDに含まれるべきとすることの妥当性を指示する科学的論文があることを示した。

 ウスツン博士は、改訂版は科学審査委員のグループによって行なわれていると説明した。

第一に、どれが環境病であり、それらが職業病であるかどうか知らなくてはならない。そして二番目に発症のレベルを数値で示さなくてはならないとした。

 フランシスカ・グティエレス氏は、ウスツン博士に、ドイツ、日本(訳注2)、オーストリア、ルクセンブルグが自国の ICD で MCS を認知したのに、残りの国は認知していないのはどういうわけかと尋ねたた。

このことは、国によって、また患者の間に不公平な状況を作り出す。

 ウスツン博士は、ICDは世界レベルのものであるが、それでも全ての国は自主権の実施に基づき、必要な変更をどのようにしてもよいと説明した。

 ウスツン博士の言葉の中で、2011年5月16日に、このレビューにおける非常に包括的な最初のドラフトが完成し、2012年5月までにもっと詳細なドラフトが作成されるであろうということが述べられた。

2015年、世界保健機関総会で結果が発表されるであろう。

 作業の過程で、これらの疾病をどこに配置するかについて科学的な議論が行なわれるであろう。

医学的専門性に関して、特に MCS と EHS の場合、複数器官の疾病なので具体的な病因をどこに分類するかについて合意がなく、これは複雑な問題である。


 ドラフト分類はオープンで透明性があり、情報はWHOのウェブサイトから入手可能である。

 ネイラ博士は、これらの疾病(MCS 及び EHS)の団体が、REACH(EUの新たな化学物質規則)などに取り組む他の団体と連携することは興味深いことであると信じている。

REACH は2007年6月1日に発効した。それは EU における以前の化学物質に関する枠組みを合理化し改善するものである。

 フランシスカ・グティエレス氏とフランシスカ R. オリアンド氏は、ネイラ博士に対して、科学的証拠から、これらの病理が器官由来であり後天的であることが示されており、この証拠からのみ適切な解決が見出され、またこれらは予防可能な疾病なので予防への活動に有用であるとすることに、彼らは完全に合意するということを明確に述べた。

 フランシスカ・グティエレス氏は、子どもや、学校の問題含んで、影響を受ける若い人々が増えているという患者団体の懸念をネイラ博士に伝えた。グティエレス氏は、この問題はこれらの疾病の発症の性差、女性の生殖機能と母親が特に妊娠中と授乳中に曝露した有毒物質を子どもに伝達することに関連していると説明した。

 フランシスカ R. オリアンド氏は、WHOの担当官らにMCSに関するWHOのポジション・ペーパーがあるかどうか尋ねた。

ネイラ博士とウスツン博士は、彼らが知る限り、彼らの関連部局にはそのような文書はないと答えた。

 このことは、MCSの認知が、1998年のベルリンでのワークショップで出現した”突発性環境不耐性(IEI)の定義の採択に関する”推測される”IPCS-WHO の MCS ポジションの引用によって停止した国々にとって、極めて重要である。

 ネイラ博士は、関連団体は ICD 11 に取り組んでいる世界中のWHOの様々な作業部会との連絡を是非確立するよう提案した。

 ラフェンテ博士は、MCSとEHSの患者は、ほとんどの人々は反応しないような非常に低用量の生体異物(xenobiotics)に反応する過敏な人々であるということを、WHO の代表に確認した。

 フランシスカ・グティエレス氏はネイラ博士に対して、ラフェンテ博士の説明は影響を受ける人々が小人数であるということを意味するのではなく、まったくその反対であると説明した。

我々は、すでに診断を受けた人々の数の多さに直面しており、人口の12%~15%の人々が化学物質の存在に何らかの被害を受けている。EHSでは、影響を受けている人々の数は、人口の3~6%であるが、これらの数も増加している。

 マリア・ネイラ博士は、常に非常に親切であり、我々が予期していた以上の時間を割き、彼女が次の会議に参加しなくてはならないときに、建物の外まで我々を見送ってくれた。彼女は、我々の提案をしっかり受け止めると述べた。

 代表委員会はネイラ博士と彼女のチームに対し、重要な議題に向けられた彼らの親切と関心に感謝している。


代表委員会のいくつかの所見


ICDを更新するためのルールが変更になった。

以前は国家の保健関連代表だけが参加できた。

現在は、新たなコードを開発するための参加に関して、有益な仮想的プラットフォームを通じて、もっとオープンになった。

”WHOキャンペーン2011”から、両方の疾病について、調整され、合意された基準の下に、世界中のワーキング・グループが参加をすることができる。


我々は、 MCS と EHS の存在を示す十分な科学的証拠があり、すでにICDで認知されている他の諸国と同様に、アクセスコード(ICD)を持つことは特に大きな問題とはならないと信じる。

肯定的に評価させるために、WHO手法に従って情報を系統化しなくてはならない。


我々は神経系症状が最も重要であるということを忘れてはならないが、恐らく、最も微妙な部分は、MCSとEHSはともに複数の器官(系)の疾病であり、分類上、異なる分野(医学的特殊性)に配置される可能性がある。

我々は、ICDにおける分類を含んで、これらの新たに出現している疾病に対するいくつかの疑問に答える新たな医学的パラダイムを確立する必要がある。


WHOは、これらの症状が存在することを知っている。


WHOの中で、これらの疾病の緊急性は論争を引き起こしたが、2015年のためのICDの開発のための手法が変化したという説明、及びワーキング・グループへの参加の可能性は、認知のために新たな可能性を開くものである。


各国は、WHOとは独立に、これらの疾病を認知し、それらを自国のICDに含めることができる。

WHOによれば、各国はこの問題に対して自主権を持つからである。