ひどい化学物質過敏症は被害者の人生を困難にする:4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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多くの証拠

 20年が経過し、数百のピアレビューされた論文が発表された後、ミラーは遺伝的にぜい弱な人々は毒物誘発性耐性喪失症(TILT)に罹りやすいかもしれないことを示すひとつのモデルを示唆する魅惑的な多くの研究に驚いた。

ひとつの重要な見識がてんかんと慢性疼痛症候群の分野に注がれたが、両方とも脳の異常な活動に関連している。

慢性疼痛症候群のある場合には、急性、局部的損傷として始まったものが、広がって、反射性交感神経性萎縮症(RSD)として知られる一般化された痛みになる。痛みの信号は、からだ全体に燃え上がるように見え、その症状は衰弱させるものであり、治療が困難である。

 同様に異常な脳活動と処理は、発作性疾患の分野でよく知られている。側頭葉てんかん症候群は、大脳辺縁系燃え上がり(limbic kindling)と呼ばれる現象まで突き止められているが、そこでは、脳の大脳辺縁系構造を横断して反復的で間欠的な低強度の刺激が最終的には発作をもたらすのかもしれない。

 実際、ミラーは燃え上がり現象に似たプロセスが、 TILTで報告されている痛みと過敏性を駆り立てるかもしれないという仮説を立てた。

溶剤、農薬、又は漏えいしたオイルからの揮発性分子のような有毒物質は、鼻の内面に厚くちりばめられた数百万の鼻神経である嗅覚受容体を通じて脳に直接到達することができる。

我々の脳は、嗅覚受容体への反応に絶妙に刺激される。

当然のことながら、例え健康な人でも、実際には知覚閾値以下であり、意識しては知覚されない嗅覚刺激への短時間の曝露の間、脳波の活動に著しい変化を示す。

 ”嗅覚系に血流脳関門がないことは、化学物質が直接、大脳辺縁系にアクセスすることを可能とする”とミラーは言う。”そして、嗅覚の通り道は、特に電気的及び化学的興奮に感受性が高いことがすでに知られている。

さらに、ほとんどの化学的暴露は間欠的であり、それは興奮と感作を増強することが知られている”。

関越的な低用量暴露は、単回のより高い暴露と同様な毒性があリ得る。

ミラーはサルの研究を引用しているが、それは、有機リン系農薬の1週間に10回の非毒性用量と1回の毒性用量は、脳波図(EEG)により測定された脳波活動に同じ増大をもたらした。

 ミラーは、有毒物質への曝露は、大脳辺縁系ネットワークを刺激するのに必要な閾値を永久的に低下させ、興奮のような現象を起こりやすくするという仮説を立てた。”それは発作を誘発するという厳密な科学的センスでの実際の興奮ではない”が、しかしその感作は、機能の永久的な変化をもたらし、嗅覚神経を通じての化学物質への反応度を理論的に永久的に高めると彼女は言う。

 コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のデンマーク化学物質過敏症研究センターの研究が彼女の見解を支持しているが、そこでは科学者らは化学物質不耐性の人々は中枢神経系でより大きな感作性を示すことを実証していた。

同センターの研究は、デンマーク人口の27%が化学物質対する何らかの注目に値する感受性を持っていることを発見した。

もっと少ない0.5%の人々は非常に感受性が高いので生活のスタイルを劇的に変更しなくてはならなない。

 もうひとつの研究で、同センターの研究者らは、同センターに助けを求めてやってきた人々の中から15人の化学物質不耐性の患者を選択していた。彼らはまた、15人の健康な人々も対象とした。

それから、彼らは唐辛子の辛みをもたらす主成分であるカプサイシンを皮下注射し、先が尖っていない硬いナイロン単繊維で注射場所から6cm離れた場所から軽くたたき始め、徐々に注射場所に近づけた。

痛みに対する刺針感覚が変化したときに、それが記録された。


 カプサイシンは無臭であるだけでなく、それは特に中枢神経系によって調節される痛み反応を含んでいることが知られている。

”それは実に興味深いことであった”と、この研究の主著者である皮膚科専門医のジェスファー・エルバーリングはコメントしている。

”化学的に不耐性の人々は、報告された痛みのレベルが示すように、皮膚の痛みの領域が著しく大きい。

中枢神経系で何か-感作と高められた反応に関する何らかのプロセスが起きている”。

 同センターは現在、化学的に過敏な人々に遺伝子の活性化が見られるかどうかどうかを調べるために、脳中の感作に関わる遺伝子を調査する研究を計画している。

”2010年に、我々は解毒に関わる遺伝子をテストしたが失敗し、解毒遺伝子とパスウェイの異形は以前に考えられていたより重要度が低いという結論を得た”と、同センターのディレクターであるシン・スコブジャーグ・ヤコブセンは述べている

”我々は、一貫した免疫学的な異常も、嗅覚の異常も見出さなかった”。

 したがって、それ以外のことが脳に起きている。

ミラーと同様にデンマークの研究者らは、脳の感作はおそらくある種の興奮(kindling)プロセスが根本にあるのではないかと疑っている。

 驚くべきことに2010年にエルバーリングは、電気ショック療法(ECT)が重度の化学物質物質不耐性の軽減のために実際に実施されたというひとつの症例を報告した。

電気ショック療法(ECT)は、重度のうつ病や難治の疼痛症候群に効果的であることが証明されているが、その影響は脳そのものであり、それは反応閾値をリセットするように見える。

  化学的に非常に不耐性になったので2年間病気で休んでいた45歳の男性患者は家を離れており、彼の子どもたちと家の外では会うことができたが、家の中では会うことがことができなかった。

彼は隔離されていたので、”恐れていた絶望がひどい心理的挫折をもたらすであろう”と彼は感じていたと、エルバーリングは言う。

 病気になる前は、この患者は産業用塗料会社で塗料の在庫管理者として働いていた。

”電気ショック療法(ECT)前の彼の自己申告による化学物質過敏症状のひどさの程度は100点のうち95点であった”と、エルバーリングは言う。

”その後、3回のECT治療の後、彼のひどさの程度は100点から30点に低下し、彼は徐々に通常の生活に戻った”。

彼は家族や友達と楽しみ、買い物をし、一緒に過ごすことができるようになった。

彼は標準的な維持療法(2週間に1度のECT治療)を4か月間受け他結果、穏やかな過敏性が残るだけとなった。

 ”それは、ETC療法が、この化学的に不耐性な患者の脳の回復プロセスを再編成する引き金となったようである” とエルバーリングは言う。

この事例は極端であるが、将来の研究に情報を与える脳によるメカニズムを示している。

 化学的に不耐性な人々はまた、組織を通る血流を追跡する SPECT scans (Single Photon Emission Computed Tomography 単一光子放射断層撮影) による脳の画像で機能障害を見ることができる。

この研究は、バルセロナにあるヘブロン大学で行われたが、そこでは研究者らは10人の化学的に不耐性の患者を2年間にわたり追跡した。

患者の症状は、慢性であり、以前には悩ませられることのなかった低い曝露レベルで反応が生じていた。

 研究を行うために、ヘブロン大学の科学者らは、SPECT スキャンで不耐性患者を評価した。

それから一週間後、これらの患者の各人は、ひとりの健康な人とともにチャンバーに入った。

時系変化とともにそれぞれの二人の組は、塗料、香水、ガソリン、及びしばしば香水や薬品を製造するために使用されるアルデヒド物質からの通常のヒュームの暴露を受けた。

曝露後、化学的に不耐性の患者には、特に臭気プロセスに関わる物質の場合、特定の脳の領域の血流に顕著な増大が見られた。

 一方ミラーは、TILT の被害を受けた湾岸戦争退役軍人の脳の中央動脈を流れる血流が減少していることを見つけていた。

湾岸戦争症候群を訴える8人の男性退役軍人と健康な8人の退役軍人が彼女の研究に参加した。

退役軍人らはコンピュータの前に座り、清浄な空気又は気づかないいほど微量のアセトンの曝露を受けながら、日常的な短時間の記憶作業を与えられた。

ミラーとそのチームは被験者にアセトンを含む空気であるかどうかを告げた。空気中のアセトン含有は健康な被験者には何ら影響を与えなかったが、湾岸戦争の退役軍人らについては、話が違った。

空気がアセトンを微量に含む時には、中大脳動脈を流れる血流は著しく遅かった。

 ”私は、この研究が完了するまではTILTが本当であるとは思っていなかった”と、この研究の設計と実施を支援したテキサス大学のミラーの同僚である生理学者のレオニド・ブネギンは述べている。”それは、脳機能と低レベル化学物質曝露との間の決定的な関係を示す初めての徹底した研究である”。


runより:化学物質過敏症は本当に何もかも奪っていきます、お金、信頼関係、娯楽など数えきれないほどです。