4.専門家のコメント
国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 福冨友馬先生
近年、成人になって新しく大豆製品によるアレルギーを発症してしまう患者さんが増えています。そのほとんどの患者さんが豆乳など加工の程度が低い大豆製品で強いアレルギー症状が出て、納豆、味噌、しょうゆなどの大豆製品では症状が出ることは極めて稀です。
豆乳等によるアレルギーは、これまでに大豆製品をたくさん摂取してきたことが発症の原因ではなく、これらの患者さんの持っている、カバノキ科花粉(シラカンバ、ハンノキなど)へのアレルギーが原因です。
これらの花粉には、Pathogenesis-related protein 10(PR-10)というアレルゲンタンパクが含まれていますが、花粉のPR-10 と似たようなアレルゲンが大豆にも含まれているため(この大豆のPR-10 アレルゲンタンパクのことを「Gly m 4」と呼びます)に、カバノキ科花粉症患者さんの一部が豆乳等を飲んだ時に交差反応でアレルギーを発症するようになります。
Gly m 4 は加熱や発酵など加工処理で活性を失いやすいという性質があり、味噌や納豆に比べて加工の程度が低い豆乳ではアレルギー症状が起こりやすくなります。
また、豆乳が液体であることも、豆乳でアレルギー症状が起こりやすいことと関係している可能性があります。
花粉のPR-10 タンパクと似たようなアレルゲンは大豆以外にもリンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、ビワなどのバラ科の果物にも含まれています。
ですので、豆乳等によるアレルギーの方の半数以上で、これらの果物を食べたときにも唇がはれたり、のどがかゆくなったりするアレルギー症状(口腔アレルギー症候群)が出ます。
逆に、リンゴやモモなどをたべると喉がかゆくなるようなアレルギー症状を持っている人は、豆乳等によるアレルギーも合併していることが多いです。
<豆乳等によるアレルギーにおける注意点>
・重篤な患者さんの場合は、豆乳のみならず、もやしやエダマメ、豆腐で症状が出ることもあります。
納豆や味噌で症状が出ることは極めて稀です。
・血液アレルギー検査での大豆特異的IgE 抗体価検査は、陰性となることがあります(「7.参考資料 典型的な豆乳等によるアレルギー患者さんの病歴」参照)。
診断のためには豆乳等の症状を引き起こした大豆製品による皮膚テスト(Prick-to-prick test)で陽性を確認する必要があります。
・血液アレルギー検査で、通常全例がシラカンバやハンノキ花粉で陽性の結果になります。これらの検査は豆乳アレルギーの診断に大いに参考になります。
・豆乳等によるアレルギーと関係ある花粉はカバノキ科の花粉(シラカンバ、ハンノキなど)です。
スギ花粉で大豆アレルギーになることはありません。
カバノキ科花粉は春に飛散する花粉で、スギ花粉の飛散時期と重複しています。
症状のみからではカバノキ科花粉症かスギ花粉症かは判別できません。判別には医療機関でのアレルギー検査が必要です。
・豆乳等をたくさん摂取するとアレルギーになりやすくなるわけではありません。
現在、豆乳等の大豆製品を症状なく摂取できている人が、今後も摂取し続けることは通常問題ありません。
ただし、カバノキ科花粉症や、果物のアレルギーのある人は、現在豆乳等によるアレルギーがなくても今後豆乳等によるアレルギーを新しく発症する危険性は他の人よりも高いと考えられています。
runより:福冨友馬先生の発言ですがアレルギーに関しては優秀な医者なので特に問題ないと思います。
元々国立病院機構相模原病院はアレルギーに関して有名ですし実績もあります。