・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tsuushin/pico_master.html
有害物質被害者、環境NGOs、科学者らが
WHO に二つの環境病 MCS と EHS の公式な認知を求める
■ICD 10 とは
世界保健機関(WHO)には、死因や疾病の国際的な統計基準のための分類として、疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)(略称 ICD)というものがあります。
現在の最新版は、1990年の第43回世界保健総会で採択された第10版で、ICD-10 として知られています。
(ウィキペディア ICD 10)
多くの国は国内版 ICD 10を持っており、日本では、厚生労働省の下、一般財団法人 医療情報システム開発センターが管理する「ICD10対応電子カルテ用標準病名マスター」がこれにあたります。
ある疾病がICD 10 に加えられるということは、その疾病が公式に認められたということになり、重要な意味を持ちます。
■化学物質過敏症と電磁波過敏症
世界中の化学物質過敏症患者や電磁波過敏症患者は、この疾病が精神的なものではなく、身体的な疾病であることをWHOや国家が正式に認めるよう強く望んでいますが、化学物質過敏症MCSも電磁波過敏症EHSもWHOのICD 10 には加えられていません。
しかし日本では、多くの患者や支援団体の働きかけにより、2009年10月1日に化学物質過敏症が、分類コードT65.9(その他及び詳細不明の物質の毒作用,詳細不明の物質の毒作用)として標準病名マスター(ICD-10)に加えられました。
また、シックハウス症候群は2002年にT52.9(有機溶剤の毒作用、有機溶剤、詳細不明)に登録されています。
化学物質過敏症が国内版ICD 10 に加えられているのは、日本以外ではドイツ、オーストリア、ルクセンブルグだけであり、電磁波過敏症はどこの国のICD 10 にも登録されていません。
このような状況の下に、スペインとイタリアの団体が中心となり、化学物質過敏症(MCS)と電磁波過敏症(EHS)を WHO のICD 10に登録するよう要請するために WHO 事務局長宛の手紙を起草し、世界中のNGOs及び専門家(研究者/医師/看護師/法律家など)に呼びかけて賛同署名を募りました。
日本では当研究会が賛同署名をとりまとめ、専門家12名と、MCS/EHSの患者及び支援16団体が賛同の署名をし、スペインの団体に提出しました。スペインとイタリアの団体は5月13日にジュネーブに行き、WHOの担当者に世界中から集まった賛同署名を添えてWHO 事務局長宛の手紙を手交しました。
(ピコ通信第153号(2011年5月))
■WHOとMCS/EHS患者・支援者団体の会談
スペインの団体から5月13日のWHOとの会談の内容が報告されたので、その概要を報告します。
WHO側出席者:
マリア・ネイラ博士:WHO 公衆衛生環境部門ディレクター
アンネ・プルス-ウスツン博士:WHO 公衆衛生・環境部門チームリーダー
イワン D. イワノフ博士:WHO 労働衛生、公衆衛生・環境部門 T. ベディルハン・ウスツン博士:WHO コーディネータ:分類・用語・標準、健康統計・情報部門
ナダ・オセイラン氏:WHOコミュニケーション担当、公衆衛生・環境部門
MCS/EHS患者・支援者団体側出席者:
アヌンシアシオン・ラフェンテ博士:ビゴ大学教授、スペイン毒性協会(AETOX)副会長
ジュリアン・マルケス博士:多種化学物質過敏症及び電磁波過敏症を専門とする臨床神経学者/神経生理学者
イサベル・ダニエル氏:看護師、神経生理学専門
ジャウメ・コルテス氏:ロンダ弁護士会メンバー、労働法及び環境病(MCS/EHS)専門の弁護士、スペイン全国多種化学物質過敏症認知委員会メンバー
ソニア・オルテガ氏:環境専門の弁護士
フランシスカ R. オリアンド氏:イダリアの連合組織 AMICA 副代表
フランシスカ・グティエレス氏:スペインの連合組織 ASQUIFYDE 代表、スペイン全国多種化学物質過敏症認知委員会メンバー