農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組-5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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Q4. 2008 年の日本における蜜蜂不足の原因は何だと考えていますか。
我が国では、2008 年、一部の地域で花粉交配に使用する蜜蜂が不足しましたが、これは「蜂群崩壊症候群」(CCD)によるものではありません。
我が国では、2008 年から2009 年にかけて蜜蜂の蜂群数が減少し、一部地域において花粉交配用蜜蜂の不足が生じました。

その原因として、天候不順や寄生ダニの被害等により蜜蜂が十分に繁殖できなかったことや、オーストラリアで病気が発生したため2007年11 月から同国からの女王蜂の輸入が見合わされていたことなどが考えられました。
養蜂家などには、農薬の影響ではないかとする声もありました。
一方、欧米では、働き蜂のほとんどが女王蜂や幼虫などを残したまま突然いなくなり、蜜蜂の群れが維持できなくなってしまう「蜂群崩壊症候群」(CCD)が2000 年代から問題になっています。

米国では、問題が明らかとなった2006 年以降、5 年連続で蜜蜂の群れの3 割以上が越冬できずに消失し、2011 年の冬にも22%の群れが越冬できなかったと報告されています。

日本ではこのような現象は見られていません。
農林水産省は、蜜蜂の研究者、養蜂家、花粉交配用蜜蜂の利用者、都道府県の担当者などの意見を参考に、原因究明のための研究を実施し、蜜蜂の需給調整を強化しました。
農林水産省は、蜜蜂不足の実態把握や当面の対応策等を検討するため、2009 年夏に、蜜蜂の研究者、養蜂家、花粉交配用蜜蜂の利用者、都道府県の担当者などから成る「みつばちの不足問題に関する有識者会議」を2回開催しました。

この会議での意見に基づいて、農林水産省は、次の対策を講じました。
・蜜蜂の減少の原因を科学的に明らかにするための調査研究の実施
・都道府県の範囲を超えて花粉交配用蜜蜂の蜂群の需給調整を行うための「需給調整システム」の立ち上げ2008 年から2009 年にかけて国内で蜜蜂が十分に繁殖できなかったため、2009 年度中に、ダニ、病気、ストレス、農薬など幅広い視点から調査する研究を農林水産省が実施しましたが、その原因は特定できませんでした。

巣箱の周辺で死んでいた虫からネオニコチノイド系農薬が検出された事例もありましたが、ダニや病原菌の影響が示唆された事例もありました。

また、花粉交配の目的で高温になる温室の中で使用されることがストレスとなっていることも示されました。

この研究の報告書は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所のホームページからダウンロードできます。
※「ミツバチ不足に関する調査研究報告書」
http://www.naro.affrc.go.jp/nilgs/project/honeybee/029486.html
また、2009 年から花粉交配用蜜蜂の需給を都道府県間で調整するようにした結果、2010 年以降花粉交配用蜜蜂の不足は見られなくなりました。