真面目な研究がNATROMの首を絞める。-3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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4.科学的根拠に基づくガイドライン策定とは

1)具体的手順


ガイドラインの中には、科学的根拠、EBMの手法と意識して表題に記載しているものがある。

ガイドラインは必ずしも科学的根拠に基づいたものばかりではないが、Evidence-Based Medicine(科学的根拠に基づく医療)の考え方が広まり、その手法に基づいて策定されるのが望ましいとされている。

この手法は、一般に、(1) 発表されている研究を文献データベースから網羅的に拾い上げ、(2) それを専門家が研究方法などについて吟味することで取捨選択してまとめ、(3) それらの根拠に基づいて、さまざまな臨床状況における推奨を決定する、というものである。

2)エビデンス・レベル


この (2) の研究吟味において重視される研究方法をわかりやすいように類型化して信頼度の目安を作ったのが、エビデンス・レベル(証拠のレベル)と呼ばれるものである。

一般にランダム化比較試験といって、コインを振って出た表裏の面で治療群・非治療群を決めて比較する研究デザインの研究は、エビデンス・レベルが高いとされる。

そのランダム化比較試験を複数集めて検討した系統的レビューが最もレベルが高く、そのような科学的データによる根拠に基づかない専門家の意見は低いとされる。

しかし、これも、さまざまな団体が多様な基準を作っているため、エビデンス・レベルの記述のある文献を読む場合にはどのような基準が作成されているのかを確認する必要がある。

下記はエビデンス・レベルの1例として、「診療ガイドライン作成の手引き2007」3で採用されているエビデンス・レベルである。

I

システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシス


II

1つ以上のランダム化比較試験による


III

非ランダム化比較試験による


IVa

分析疫学的研究(コホート研究)


IVb

分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)


V

記述研究(症例報告やケース・シリーズ)


VI

患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見


なお、システマティック・レビュー/RCTのメタアナリシスが、最上位に位置しているが、メタアナリシスとは、複数の研究を統合して統計解析を行う手法であることから、個々のRCTの質や均一性に影響される。

そのため必ずしも、RCTよりも上位に位置するわけではなく、相互補完的に臨床的知見を構築していくものとして考えるべきという意見もある。

また、エビデンス・レベルとは、研究の分類による結論の強さの一般的傾向を順位付けしたものであり、研究の他の要素によってもその結論の強さが影響されることにも留意して、総合的に評価する姿勢が必要である。