その2:第4部:化学物質過敏症に関する情報収集、解析調査報告書 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・(2)大気中の化学物質濃度
大気中の化学物質濃度については、有害大気汚染物質について、環境庁(現環境省)が昭和60 年度よりモニタリング調査を行っており、さらに平成9 年度から大気汚染防止法の改正に伴って、地方公共団体(都道府県・大気汚染防止法の政令市)によるモニタリング調査も実施されている。

有害大気汚染物質とは、大気中の濃度が低濃度であっても、人が長期的に曝露された場合には健康影響(主に発ガン性に対する評価)が懸念される物質で、ダイオキシン類や揮発性有機化合物、重金属類など表-4.2.2 に示す22 物質が優先取り組み物質とされ、このうち20 物質がモニタリング対象物質となっている。
表-4.2.2 有害大気汚染物質(優先取り組み物質)の発ガン性評価等

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注1) IARC発がん性評価
1. 人に対して発がん性を示す物質
2. 人に対して発がん性を示す可能性のある物質
 2A 可能性の高い(probably)物質
 2B 可能性の低い(possibly)物質
3. 人に対して発がん性を評価するには十分な証拠が得られていない物質
( ダイオキシン類のIARC発がん性評価は、2,3,7,8-TCDDについては1、その他の異性体については3)
注2)「EPA10-5」の欄は、米国環境保護庁が設定したユニットリスクに基づく10-5リスクレベル換算値
 ※a nickel refinery dust
 ※b nickel sub sulfide
注3) 「WHO欧州」の欄は、WHO欧州地域事務局のガイドライン値
 ※1 ユニットリスクの10-5レベル換算値
 ※2 WHO欧州地域事務局(1996)の改定ガイドライン値
 ※3 WHO欧州地域事務局(1996)の改定ガイドラインのリストにはないが1987年のガイドラインにある物質
 ※4 ジクロロメタンは24時間平均値、ホルムアルデヒドは30分平均値であり、これ以外のユニットリスクで示されない物質は年平均値を示す。
注4) モニタリング対象物質の欄の「◎」印は、自動車からの排出が予想されるため、沿道の地点においてモニタリングを実施することとされている。
注5) 金属化合物については、必ずしもそのすべてが長期毒性を有すると確認されているものではないため、今後、化学的知見の蓄積等を図り、個別の化合物の有害性を明らかにしていくことが必要である、とされている
注6)網掛けは厚生労働省室内化学物質濃度指針値策定物質(但し、総揮発性有機化合物を除く)を示す。
資料:「優先取組物質の発がん性の評価、評価値等」(大阪府HPECOGALLERY おおさかの環境ホームページ)を基に作成


環境省ではまた、一般環境中における有害化学物質の残留状況を把握するため、化学物質環境調査として、昭和49 年度より種々の化学物質を年に数10 物質ずつ選択して環境中の残留状況(川,湖,海,魚,大気)を調査しており、現在までに約900 物質が調査対象となっている。

このうち大気中の化学物質についてはアクリル酸エチルをはじめとして290 物質の調査(資料編参照)が行われており、表-4.2.3 に示すように、厚生労働省が室内濃度指針値を策定した揮発性有機化合物については、同指針値対象物質がアセトアルデヒドをはじめとして9 物質、また、総揮発性有機化合物としてリストアップされた物質では、ヘキサンをはじめとして、18 物質が含まれている。

同調査における化学物質濃度の検出範囲では、酢酸エチルの160,000 ng/m3が最大となっており、次いでトルエンの85,000ng/m3、アセトアルデヒドの45,000ng/m3 となっているが、厚生労働省が策定した室内濃度指針値を上回るような調査結果はなく、アセトアルデヒド以外は、いずれも同指針値を大きく下回る結果となっている。