・(2)病態・症候
1) 化学物質過敏症
広義の化学物質過敏症の病態・症候は非常に多様であり、前述の「室内空気質健康影響研究会」の報告書にあっては、『粘膜刺激症状(結膜炎、鼻炎、咽頭炎)、皮膚炎、気管支炎、喘息、循環器症状(動悸、不整脈)、消化器症状(胃腸症状)、自律神経障害(異常発汗)、精神症状(不眠、不安、うつ状態、記憶困難、集中困難、価値観や認識の変化)、中枢神経障害(痙攣)、頭痛、発熱、疲労感等が同時にもしくは交互に出現する』としている。
厚生省(現厚生労働省)が設置した厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班は、1997 年8 月に「化学物質過敏症パンフレット」を作成し、表-4.1.4 示す広義の化学物質過敏症の診断基準を提示しており、その中で、化学物質過敏症の主症状(4種類)と副症状(8 種類)を示している。この主症状のうちの2項目と副症状のうちの4項目が陽性の場合と、主症状のうちの1項目と副症状のうちの6項目が陽性でかつ検査所見のうちの2項目が該当した場合、の2つのケースについて、化学物質過敏症と診断される、としている。
なお、現時点(平成19 年3 月)においては、健康保険による診療保険請求の傷病名として認められているのは『シックハウス症候群』1)のみであり、『化学物質過敏症』は存在していない2)。
(runより、現在は認可されています)
1)「シックハウス対策に対する医療機関への周知について(要請)、健衛発第0601001 号、平成16 年6 月1 日、厚生労働省健康局生活衛生課長
2)但し、診療報酬請求で用いられる「化学」の名称がある傷病名には以下のようなものがある。化学外傷・化学性急性外耳炎・化学性結膜炎・化学性食道炎・化学性皮膚炎・化学的糖尿病・化学物質性気管支炎・化学物質性肺水腫(資料:「ICD10 対応電子カルテ標準病名マスター第2版」、平成19 年6 月、(財)医療情報システム開発センター)
2) シックハウス症候群
シックハウス症候群の病態・症候は、その定義が、広義の化学物質過敏症と同様に確立されていないため、前述の「室内空気質健康影響研究会」の報告書にあっては、「①皮膚や眼、咽頭、気道などの皮膚・粘膜刺激症状及び、②全身倦怠感、めまい、頭痛・頭重などの不定愁訴」とした表現に留めている。
3) 患者による報告
化学物質過敏症等を発症した患者自身の報告による病態・症候について、文献及びインターネット上の関連NPO のホームページより収集・整理した(資料編参照)。
ここで示された病態・症候は、全て患者自身による報告のため、客観性に欠け、医学的な根拠も薄いものであるが、収集した56 例の病態について、症状の起こった部位等について、初期と経過における症状の発現数(症状が複数の場合についても、それぞれカウント)を表-4.1.5 にまとめた。
初期症状では、呼吸器が32 件と最も多く、続いて耳・鼻・喉(27 件)、頭部(24 件)、皮膚(21 件)と続き、経過では、倦怠感・疲労感などの神経が24 件、吐き気・発熱など不定なものが22 件となっている。
表-4.1.5 患者自身の報告による病態の分類結果及び症状の発現数(56 例)
注)病態の収集・分類に用いた資料は以下の通り。
「化学物質過敏症症例集2004」、2004年2月、化学物質過敏症支援センター
「私の化学物質過敏症 患者たちの記録」、2003年10月、化学物質過敏症患者の会編
「CSネット通信7~17号」、旧化学物質過敏症ネットーワーク(2001年6月解散)
runより:編集しながら記事を作っているので更新に時間が掛かります。
ゆっくりしていってね((。´・ω・)。´_ _))ペコ