生活用品に使われている有機顔料にPCB:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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Q 化粧品などの原料となる有機顔料にPCBが含まれていることがわかりました。

なぜPCBの使用は1972年に禁止されているのに、有機顔料に含まれていたのでしょうか。

A 顔料とは、着色に用いる粉末で、水や油に不溶なものの総称で、有機顔料は有機化合物を成分とする顔料です。

顔料は、色をつけることを目的とした化粧品や絵の具、クレヨン等の文房具、印刷トナーや塗料、織物、ウレタン系プラスチック製品など、私たちの身近なところでも多く使われています。
 私は市販のアゾ顔料という有機顔料を使って分析を行いましたので、それを例としてどうしてPCBができるのかを説明しましょう。
 PCBの使用は禁止されていますので、PCBをわざと入れるということではありません。

たとえば、3,3’- ジクロロベンジジンという化学物質を原料とする場合、塩化水素や亜硝酸ナトリウムと反応させたジアゾニウム塩と芳香族化合物をカップリングさせて、アゾ顔料が合成されます。

これらの化学反応が起きる際に、ジアゾニウム塩が余ってしまうと、化学構造が似ているPCBの異性体(PCB#11)ができてしまうと考えられます。下の図を見れば、3,3’- ジクロロベンジジンとPCB#11の構造がとても似ていることをお分かりいただけると思います。(図省略)


Q 顔料を製造するときにPCBが副生成物としてできることは、最近になってわかったことなのでしょうか。

A いいえ、そんなことはありません。

私たちは、2000年以前から、大阪湾の底質の調査・分析を行い、顔料系の非意図的生成PCB異性体(PCB#11)の環境中での挙動について注目し、環境化学討論会などで、問題提起してきました1,2。
 アメリカでも、環境中で、PCB異性体(PCB#11)が、高濃度で検出される事例がリットン博士らによって報告されています3。

リットン博士らはハドソン川で、顔料やトナーを製造している工場から、高濃度のPCB#11を検出しました。

もともと近辺の工場で製造しているPCB製品にはPCB#11は極微量にしか存在しないのに、環境中から多量に検出されることがあり、それらが合成有機顔料を製造される際に生じる副生成物のためであることがわかっています。