それらによって、膨大な数の成長した野生生物が生殖不可能になりました。
どうにか子どもを残せた場合でも、子孫はさまざまな問題を抱え普通に成長することはできませんでした。
そして成長した多くの鳥たちも子育て本能を忘れ、卵やヒナのいる巣に関心を示さなかったり、育児放棄をしたりしました。
もうひとつの身の毛のよだつような警告はその10年後にありました。
五大湖の魚を食べた母親の子どもは、そうでない母親の子どもに比べてADHDになりやすく感染症への抵抗力が弱いという研究結果でした。
そして、胎児の脳へのダメージの強さは、母親の血液中のPCBの濃度と関連があることがわかりました。それは鳥類で見られたように、子どもの出生前にPCBが母親から胎児へ移行していることを意味しています。
多くの人がPCBはもう消えたと考えている時に、化学業界はPCBの代替品として、塩素の代わりに臭素をベンゼンと結合させた合成物を使用し始め、売りだしました。
この臭素系化合物は全世界で難燃剤として販売され、それらを環境中から検出する技術が開発されてもいないのに全世界に広がってしまいました。そして再び、PCBのように残留性が強いので、南極から北極まで、動物から人間にまで検出されるようになりました。
この臭素系化合物はPCBのように、脳や免疫系、甲状腺機能、精子数や精子の質にまで影響するのです。
塩素や臭素によってこれだけの間違いを犯しながらも、まだ前進しようとする企業がいるというのは、到底理解しがたいことです。
そしてフッ素を例にとれば、最も反応性が高い化学物質のひとつであり、しかも塩素や臭素とよく似た性質の化学物質で、残留性が天文学的に高いフッ素化合物が何トンも販売され始めました。
それは線維を防水にするためや汚れ防止、スクランブルエッグをフライパンに焦げ付かないようにするためのものでした。
これらの化学物質は洗面や衣類として使用するものなどで、私たちに身近な製品といえます。
家具や車のシートの繊維や調理器具などにも使用されています。
最近2年余りの間に、独立したパイオニア的な科学者たちが内分泌学の原理を研究し始めました。
そして、このフッ素系化合物が出生前の胎児の発達に影響を及ぼすこと、副腎、膵臓、甲状腺機能、性腺、肝臓や腎臓、免疫システムにも影響することを発見しました。
しかし現在の公衆衛生政策では、私たちを守るためのこれらの情報を利用して、規制することができないのです。
私たちの法律はそのようにできているのです。