・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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奪われし未来のコルボーン氏より、オバマ大統領夫妻への手紙
2012年12月、ワシントンDCで開催されたTEDxMidAtlanticというイベントで、環境ホルモンに世界的に警鐘をならすきっかけとなった『奪われし未来』の著者であるテオ・コルボーンさんが、オバマ大統領夫妻への手紙を朗読しました。そのときの映像は、インターネットで公開されています。
関心のある方は、インターネットで、Letter to thePresident About Chemicals Disrupting ourBodies と入力して、検索してみてください。
今回、テオ・コルボーン氏よりご快諾をいただき、そのときに朗読した手紙の和訳を掲載します。
―胎児への化学物質テロ対策を国家の優先課題に―
2012年12月6日
オバマ米国大統領夫妻 殿
ホワイトハウス、ワシントンDC
Theo Colborn(テオ・コルボーン)
TEDX(The Endocrine Disruption Exchange)
拝啓 オバマ大統領と大統領夫人
今、恋をして結婚し、子どもをもうけようとしている若者たちの未来がどのようなものになるのか、あなた方は考えてみたことがありますか。
私はとても幸運なことに、1950年代に4人の子供を妊娠しました。
その当時は、子どもが生まれるやいなや、子どもの手と足の指の数をかぞえ、そして私の夫はもちろん、まず息子の性器がちゃんとしているかを確かめました。
その後で、私たちはやっと安堵してため息をつき、親として感謝して穏やかに生活することができました。
しかし私たちは当時、40億年をかけて進化した子宮内の化学の不思議な力、ひとつの細胞が分裂して、さらに分裂し続けて子宮内で魔法のように赤ん坊を作りだすという奇跡、その不思議さについてなど、まったく考えることはありませんでした。
それどころか、現在、子ども達を侵しつつあるさまざまな疾患について思いを巡らすこともありませんでした。
今日、さまざまな統計によれば、注意欠陥多動性障害(一般にはADH D と呼ばれる)や自閉症、糖尿病、肥満などが急増しています。
その異常な数字について考えてみて下さい。
今日アメリカに生まれる赤ん坊の3人に1人が、将来糖尿病を発症することになるでしょうし、もしもあなたがアフリカ系のアメリカ人、あるいはその他のマイノリティー(少数民族)ならば、その割合は2人に1人になるでしょう。また、今日生まれる88人に1人の赤ん坊が自閉症スペクトラム障害を発症し、男の子の場合には、その割合が54人に1人になるでしょう。
そして今後10年たたないうちに、アメリカ人の80%は脂満になるでしょう。
妊婦が妊娠中にこのような病気について心配し、もしかしたら自分の大切な赤ん坊が、子宮内に侵入している有毒な合成化学物質の影響によって、糖尿病や自閉症になるかもしれないと、その兆候を毎日心配して見守らなくてはならないことなど、あってはならないのです。