2.11 保健大臣は本委員会に、新しい農薬法を議会に提出する明確な時刻表を持たないことを伝えた。彼は、そのような行動をする前に、種々の問題に関して自分の幹部会と相談し、本委員会の勧告を考慮したいと話した。12
2.12 本委員会は、大臣が私たちの勧告を考慮する機会を得るまで、新しい法案の提出を延期することについて、大臣に感謝する。
しかし、法律改革は長い間期限切れであり、時間は重要であることにほとんど疑いがない。
現在の法律は30才である。
それは一般的禁止に着手し、大ざっぱな規制権限を提供すること以外ほとんどしない。
本委員会の意見では、カナダの農薬管理に対する現在の規制方法は最早受け入れることができない。
議会が新しい連邦有害生物管理制度の要素を決定することに関与するのは重要である。
2.13 多くの証言人がこの法律が現代化されるのを熱望した。
本委員会は同意し、新しい農薬法が最も早い機会に提出されることを勧告する。
本委員会は、保健大臣が最優先事項として新しい農薬法を導入することを勧告する。
新しい法律の指導原則
Guiding Principles for the New Legislation
2.14 本委員会は1999年1月の文書13中でPMRAによって提案された改正案総合政策を詳しく調べた。
この報告中で非常に詳しく考察したように、これらの提案された改正案は多数の資料の面で不足している。
本委員会の意見では、新しい法律は修正した制度を下から支える指導原則を詳しく述べなければならない。
またリスクアセスメント及びリスクマネージメントに関する現代の概念を取り込む行動のために、詳細な枠組みを提供しなければならない。
特に、私たちの最も影響を受けやすい集団、とりわけ子供が適切に守られることを確保しなければならない。
2.15 証人が示した証拠に関して、本委員会は新しい法律は次の原則に基づくべきであると信じる:
・ 有害生物管理決定に関して、人間の健康と環境の保護について最優先を与える必要
・ 意志決定に予防的手段をとることを確保する必要
・ 農薬使用を排除又は最小限にするために、汚染防止戦略を促進及び増加させる必要
・ カナダ人に活発に情報を伝え、関与させることにより、一般人の信頼をはぐくむ必要
2.16 1995年にPMRAが創設されたとき、多くの目標を与えられた。
一つの目標は人間の健康及び環境を保護することであり、他の目標は農業及び林業・製造業分野の競争力を支援することであった。
本委員会の意見では、PMRAは産業の競争力を支援する仕事にあるべきではない。
この仕事を行うためには、連邦政府内に産業及び外務・通商・財務・天然資源・農務・農業食品の省を含む一層適切な部署がある。
2.17 本委員会は、PMRAがほかの所ではなくカナダ保健省内に創設されたという事実に大きな評価を与える。
もしこの決定が何らかの意味を持つなら、人間の健康と環境の保護はこの庁の中心的優先事項とならなければならない。
第五章から七章でやや詳細に考察するように、農薬は人間と野生生物で広汎な病気と異常を起こすこと、又は起こすと疑われていることが知られている。
定義により、農薬は有毒である。
人間の健康と環境の保護があらゆる有害生物管理決定の原動力であることがこのように重要であり、このことが序文と効力のある章の両方で、新しい法律中で明りょうでなければならない。
2.18 新世代の農薬が古い農薬と置き換えるために常に導入されている。
新しい農薬は科学が進むにつれ、私たちが毒性が少ないと考えた新しい農薬が、同様に人間の健康に有害であリ得ることが知られた。
経験は「有害でない」ものはないことを、私たちに告げる。科学的確実性の不足を補うために安全余裕を備えるために、決定作成手続きの全局面で予防的方法を採用することが重要である。
本委員会は、そのために、新しい法律は指導原則の一つとして予防原則を大事にすることを勧告する。
2.19 予防原則に関する多くの定義があるが、本委員会は海洋での物質処分に関する、1972年ロンドン条約の下で作られた1996年議定書にある定義を認める12。
この定義は、調べた他の多くの定義より広い行動範囲を提供する。農薬規制の文脈を反映させるため、わずかに調整するなら、この定義は次のものを提供するだろう:
農薬とその影響との間の因果関係を証明する決定的な証拠がない場合でさえ、農薬が害を起こすということを信じる理由がある場合、適切な予防策を講じるべきである。
2.20 この章で先に述べたように、汚染防止は持続可能な発展を達成するのに重要な手段と考えられる。
本委員会の意見では、農薬使用に付随する危険を管理するよりも、農薬及びほかの汚染物質の生成及び使用を避け、若しくは最小限にする事を求めるので、人間の健康及び環境を守ることに関して、汚染防止は選択肢である。
農薬に関して、汚染防止は農薬使用の削減又は排除を目指す、農薬使用削減計画及び総合防除戦略の実施を通じて達成される。
これらのアプローチは第11章と12章で考察される。