・出典:高木任三郎市民科学基金
合成樹脂系VOCの健康影響実態調査
化学物質による大気汚染から健康を守る会
森上 展安 さん
30万円
研究の概要 中間報告 結果・成果 その他/備考
研究の概要
2010年10月の助成申込書から
合成樹脂があらゆるところで多量に使われるようになり、毒性が強い樹脂系VOCが重大な健康影響を引き起こしているにもかかわらず、実態の調査研究が乏しく、規制物質種類などさえも適切と言い難い。
この広範な環境汚染は、住民参加で多面的に光を当てる調査研究しなければ間に合わない。
2007年度から市民自身によるVOC汚染物質調査を簡易クロマト型分析器で実施し、特に合成樹脂系VOCの有害を強く認識するようになった。
2010年度からNPOとして再組織され各分野の専門家が充実したので、合成樹脂系VOCにつき、被害症状と医療対策の調査研究、呈色試薬およびクロマト型モニターなどによる簡易分析実施、専門的分析結果の検討、生物への影響観察、などの多面的総合調査研究に発展させることとした。
調査は結論を待つことなく進展する各段階で公表し、関係ある諸団体との協力を求めると共に、地域汚染や健康被害者への支援にも役立て、またITネットや文書および口頭での発信による情報交換を行い、行政など各方面への政策提言に結び付けたい。
中間報告
2011年11月の中間報告書から
毒性が強い樹脂系VOCがあらゆるところで多量に使われるようになり重大な健康影響を引き起こしているのに実際には調べてもいないので、いろいろな面から調べてみようとしています。
A.従来実施されているアンケート質問表(QEESI、THI、EHS、野田市廃建材処理に関わる健康調査表、寝屋川市包装用プラスチックリサイクルに関わる調査表、焼却不適ごみ中間処理施設(杉並病)に関わる行政の質問表、同市民の質問表、など)を集めて、今年も新しく岡山、川崎、多摩、龍ヶ崎からの切々とした訴えを受け取ったの詳細症状などと見比べて、樹脂系VOCの健康影響があるかどうかの調査にぴったり合う質問表を作りたいと検討始めました。
B.生物に対しての影響で環境汚染(樹脂系VOC;一部農薬を含む)を示すことが出来ないだろうかと、昆虫と野鳥の生息変化状況についてアンケートし250枚を回収しました。NPO・CSセンター、NGO・つくば市民大学、NPO・緑の家学校、アースデイつくば、NPO・化学物質問題市民研究会、埼玉西部の土と水と空気を守る会、などのご協力も頂きました。
回答地域の環境的特長による傾向を明らかにしたいと計画して集計・検討中です。
つくば中央公園で都会の生物観察をしました。
食虫性のセキレイがいなくなっていることに驚きました。
C.簡易な方法で汚染が分析できると市民の手であちこちくまなく調べられるので、良い方法を探しています。
近年あらゆるところに利用されるようになり、しかも最も有害なイソシアネート(ポリウレタン単分子)の簡易分析法の文献4個がある事を知ったので原文入手に手を尽くしているところです(米国・国立労働衛生安全研究所文書で紹介)。
また、簡易分析器に適当なものが見当たらないので、新規の開発を促したく、独自の設計思想で仕様書を作成しました。計測器メーカー数箇所に打診する予定です。
D.手持ちのやや面倒な携帯クロマトグラフ型分析器でも、乙戸団地で修理・新築工事前後、龍ヶ崎で農薬空中散布期間中、ごみリサイクル施設彩の国周辺5箇所などでVOC汚染の連続観察記録しました。
乙戸団地では工事前は例年になく清浄であったが、7月始めから各所で震災被害の修理も始まり、有害大気汚染が急増し、健康被害もありました。
龍ヶ崎では広域長期的な散布だったので日毎の影響らしきものが重なり、局地的な散布日程との関係は掴み難かったが、他の空気汚染との相違が記録できました。
彩の国では地域全体に同じ種類の汚染が支配的で、ごみリサイクル施設からの立地に依存し、また作業時間に依存して出現し、種類はやや揮発しにくいもので、分解樹脂成分の特徴を示しました。
runより:実質イソシアネートへの研究費ですね。