・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
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NEWS LETTER Vol.78
日本の専門家は何をしている?
――米国小児科学会は、子どもの農薬曝露を減らすよう勧告
理事 水野 玲子
●米国の専門家は
米国小児科学会は2012年、農薬ばく露が子どもの健康にもたらす影響を重く見て、子どもへの農薬ばく露低減を求める政策声明を発表した(AmericanAcademy of Pediatrics (APP) Technical Report2012/11/26“Pediatrics:Pesticides exposure inchildren”)。
子どもたちは日常的に農薬にさらされており、それらの潜在的な毒性に対してきわめて脆弱である。
急性リスクは明白だが、少量でも慢性ばく露の健康への影響が分かり始めてきたので、小児科学会として何らかの行動を起こす必要に迫られたのである。
米国の専門家たちも、さすがに昨今の自閉症やADHDなど発達障害の増加の現実を無視できなくなったようである。
●米国小児科学会の声明要旨
以下は米国小児科学会の声明の要旨である。
「農薬は害虫を殺し、雑草、カビなどをなくすために使用される化学物質の総称だが、家庭の庭や家の中、学校、そして食物や水なども、子どもにとっては農薬を浴びるばく露源といえる。
その影響は急性のものあるが、しばらくして現れる慢性毒性もある。
2008年に米国の疾病管理局(CDC)に報告された中毒事例のなかで、農薬に関するものは第9番目に多く、その45%が子どもの中毒であった。
有機リン系農薬やカーバメート系農薬による事例は、おそらく急性中毒であろうが、それらは赤血球中のコリンエステラーゼのレベル低下によって診断することができ、その解毒の方法もある。
しかし、ピレスロイド系およびネオニコチノイド系の殺虫剤や除草剤、殺菌剤や殺鼠剤などもそれぞれ固有の毒性があり、それらを理解することが、それによって引き起こされる影響を理解するために役立つだろう。
ばく露が急性であれ慢性であれ、それらのもたらす慢性影響についての証拠が蓄積されつつある。親の農薬使用と子どもの急性リンパ性白血病や脳腫瘍との関連を示す疫学的証拠が増大している。
また、両親が職場などで有機リン系や有機塩素系農薬にばく露することが、発達途上の胎児の脳、神経などに及ぼす悪影響についても証拠がでている。
最近増えている発達障害や注意欠陥多動性障害などと農薬との関連についても同様である。したがって、子どもへの、そして親となる人達への農薬ばく露は可能な限り制限されるべきである。
さらに、農薬のばく露の問題について理解を深め、それを低減するためには、現在の医学教育での農薬についての知識普及と訓練の向上、公衆衛生上における不適切な措置について多くの人が目を向けること、また、子どもの健康を配慮した総合的病害虫管理(Integerated Pest Management)や農薬の販売についても安全性を強化することが必要だ。
●日本の専門家は……
一方、日本では、ほとんどの医者や医学の専門家は農薬問題に無関心である。
日々の臨床現場での子どもの病気への対応に追われ、どうしてそれらの病気が引き起こされるのか、原因について疑問をいだいている暇はないようだ。
直接的ではなく、間接的にでも子どもの病気に影響を及ぼす可能性がある化学物質が存在すること、とくに農薬の影響については全く意識していない。
すでに動物実験の結果は、脳や神経発達などへの様々な農薬の影響を示しており、人間にも同じようなことが起こると推定されている。
しかし、いざ人の子どもの問題になると、“やはり実験動物と人間は違う”と動物実験の結果が軽視される傾向は、現在も変わっていない。
runより:アメリカは州で色々変わるけど基本的に相手の痛みを理解しようとします。
日本はそういう姿勢がほぼ無い、撒いて人体実験と言われそうな程無頓着だと私は思います。