runより:初めに申しておきますがこの発表は受け入れがたい物です。
このままでは特発性環境不耐症=化学物質過敏症という概念を加速させるだけで我々化学物質過敏症患者にとって何もプラスにならないという事が懸念されます。
本来の特発性環境不耐症の考え方を研究してほしいと願いつつ掲載します。
尚一部図を省略しています、詳しくはリンク先のPDFをお読みください。
・特発性環境不耐症(いわゆる「化学物質過敏症」)患者に対する単盲検法による化学物質曝露負荷試験
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/060010011.pdf
原著
特発性環境不耐症(いわゆる「化学物質過敏症」)患者に対する単盲検法による化学物質曝露負荷試験
吉田辰夫1),平田衛1),小川真規2)
1)関西労災病院環境医学研究センター・シックハウス診療科
2)自治医科大学保健室
(平成23 年5 月11 日受付)
要旨:【目的】シックハウス症候群と混同されることもある特発性環境不耐症(IEI,所謂「化学物質過敏症」)の患者における化学物質曝露との関係を明らかにする目的で,トルエン(T)とホルムアルデヒド(FA)の曝露負荷試験をおこなった.
【方法】来院したIEI 患者のうち,同意を得られた7 名(女性5 名,男性2 名)にFA を,11名(女性9 名,内1 名はFA にも曝露,男性2 名)にT を単盲検法で曝露した.
影響指標として,自覚症状,瞳孔反応検査,視標追跡眼球運動検査(ETT),および症状に伴う血圧,脈拍数,SPO2の変化を観察した.
【結果】FA 曝露およびT 曝露において,何らかの症状を示した患者は皆無であり,症状に伴うバイタル検査の変動は観察されなかった.
また,陽性評価基準を超えて瞳孔反応検査指標が変動し,あるいはETT においてサッケードが25% を超えて増加し,かつ0ppb 曝露での有意な増加が観察されないなどの矛盾がない患者は皆無であった.
【結論】IEI 患者の症状等が化学物質によらない可能性が示唆された.
このことは海外の先行研究と一致していた.国内の先行研究でも用いられた瞳孔反応検査は,測定値が個人間,個人内で大きく変動する検査であり,慎重な取扱が必要である.
(日職災医誌,60:11─17,2012)