「IEI支持」特発性環境不耐症の臨床所見:3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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結果
表1,2 に主な既往歴と自覚症状のIEI 群とSHS 群における人数と割合を示す.

既往歴がない患者の割合はSHS 群に高い傾向を示すのに対して,アレルギー性疾患,中でも花粉症の割合がIEI 群に高いが有意差はなく,実数は多くはない精神疾患および目鼻の疾患(アレルギー性疾患を除く,Meniere 病,突発性難聴,緑内障,網脈絡膜炎,網膜色素変性症など)にIEI 群はSHS 群に比べ有意に高い割合を示した(各々p=0.038,p=0.035).

自覚症状において,くしゃみ鼻水,咳痰などの気道刺激症状は,IEI 群においてはSHS 群よりも少ない傾向を示したが有意ではなかった.

一方,呼吸困難・息苦しさは両群に各々10 人余いてIEI 群での割合がSHS 群に比べて有意に高かった(p=0.015).

めまいも両群に各々10人程度いてIEI 群ではSHS 群よりも多い傾向を示したが有意ではなかった.皮膚発疹はIEI 群においては1 名のみであるのに対して,SHS 群では30% を超え,有意差を示した(p<0.01).

逆に,関節痛はIEI 群では7 名に見られたが,SHS 群では1 名のみで,有意差を示した(p=0.015).

表1 主な既往歴を示した患者数とその割合(χ2 検定)
既往歴
          SHS      IEI      p
          人数%     人数%
なし       22/88 25.0  5/42 11.9 0.107
アレルギー性疾患28/88  31.8 18/42 42.9 0.243
花粉症     13/88    14.8 12/42 28.6 0.094
精神疾患     4/88   4.5 7/42 16.7 0.038
眼・鼻の疾患(アレルギー性疾患を除く)
         2/88 2.3 5/42 11.9 0.035
その他      25/88 28.4 19/42 45.2 0.075


表2 主な自覚症状を示した患者数とその割合(χ2 検定)
主訴        SHS    IEI    p 値
          人数%   人数%
くしゃみ鼻水  14/88  15.9 2/42 4.8 0.089
咳・痰      23/88  26.1 5/42 11.9 0.072
呼吸困難・息苦しさ13/88  14.8 14/42 33.3 0.015
めまい     15/88  17.0 10/42 23.8 0.354
筋肉痛・筋緊張3/88  3.4 6/42 14.3 0.057
関節痛     1/88  1.1 7/42 16.7 0.015
動悸      3/88 3 .4 6/42 14.3 0.057
皮膚?痒    10/88  11.4 1/42 2.4 0.103
皮膚発疹27/88 30.7  1/42 2.3 <0.01


表3 主な検査項目における異常値を示した患者数とその割合(χ2 検定)
          SHS    IEI  p 値
         人数%    人数%
心理検査
STAI 特性不安  57/87 65.5 26/42 61.9 0.699
STAI 状態不安  62/87 71.3 34/42 81.0 0.285
POMS 緊張―不安 26/86 30.2 13/41 31.7 0.800
POMS 抑うつ   30/86 34.9 13/41 31.7 0.841
POMS 怒り―敵意 27/86 31.4 13/41 31.7 >0.999
POMS 意欲    35/86 40.7 20/41 48.8 0.446
POMS 疲労    34/86 39.5 18/41 43.9 0.701
POMS 混乱    35/86 40.7 18/41 43.9 0.848
血液一般・生化学
ALT        8/88 9.1 6/39 15.4 0.359
ChE        3/82 3.7 4/39 10.3 0.210
総コレステロール 12/75 16.0 11/37 29.7 0.091
総IgE       11/81 13.6 10/38 26.3 0.075
肺機能検査
FEV1、0%     3/68 4.4 3/28 10.7 0.353
瞳孔反応検査
T5 潜時     8/79 10.1 3/36 8.3 >0.999
視標追跡検査
0.3Hz 時サッケード率9/77 11.7 6/37 16.2 0.559
0.5Hz 時サッケード率13/71 18.3 11/32 34.4 0.074


めまいも両群に各々10人程度いてIEI 群ではSHS 群よりも多い傾向を示したが有意ではなかった.

皮膚発疹はIEI 群においては1 名のみであるのに対して,SHS 群では30% を超え,有意差を示した(p<0.01).

逆に,関節痛はIEI 群では7 名に見られたが,SHS 群では1 名のみで,有意差を示した(p=0.015).

表3 に主な検査項目において異常値を示した患者数とその割合を示す.

心理検査における異常者の割合は両群とも高いが,殆ど差が認められなかった.

血液一般・血液生化学では,総コレステロールの異常値を示す患者が両群で各々10 人余いてIEI 群で異常値を示す割合が高い傾向が見られたが有意ではなかった.

免疫系検査である総IgE 量の異常値を示す患者が両群で各々10 人程度いてIEI 群で異常値を示す割合がSHS 群に比べて高い傾向を示したが有意ではなかった.

生理学的検査では,0.5Hz で動く視標を追跡する視標追跡検査におけるサッケード出現率の異常値を示す患者が両群で各々10 人余いてIEI 群に異常値が高い傾向が見られたが,有意ではなかった.