原因は殺虫剤か、ミツバチの窮状
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 5月14日(火)12時34分配信
巣箱から巣を回収する養蜂家。 (Photograph by Gianluca Colla National Geographic)
農場の作物が受粉する季節が巡ってきた2013年春、ハチが再びニュースに取り上げられている。
欧州連合(EU)は先月29日、ミツバチの減少に関連性が指摘されているネオニコチノイド系殺虫剤の使用を2年間にわたって禁止すると発表した。
この欧州の動きをアメリカは静観しているが今年、養蜂事業者と環境保護団体、消費者団体から成るグループが、殺虫剤の危険を放置していると環境保護庁(EPA)を訴えた。
数年前から科学者たちは、ハチの将来を憂えている。
また養蜂事業者たちは、危機が明らかになって数年後の現在も飼育コロニーの問題が解消されておらず、ハチの窮状は変わらないと考えている。
現在の危機が表面化したのは、国中の養蜂事業者がハチの大量喪失を報告した2006年秋だ。
平均で巣箱の3分の1以上が失われ、90%に達するケースもあった。
飛び去ったハチが戻らず、巣箱に残るのは女王バチのみ。
こうした前例のない喪失が短期間に集中し、手掛かりとなる死骸も見つからない。
謎の喪失は蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれ、まるで周期的な病のように現在は落ち着いている。
ただし、ハチたちはいまだ命懸けで戦い、コロニーはかつてないほど弱体化している。
2012年から2013年の最新の冬期データによれば、アメリカの養蜂事業者は平均で巣箱の45.1%を失っている。
これは1年前の冬より78.2%も多い数字だ。
業務用の巣箱は全体で31.1%失われており、過去6年と変わっていない。現在、大部分の養蜂事業者は15%の喪失を“許容範囲”と考えている。