室内用品に含まれている化学物質は、どのような経路で私たちのからだに入ってくるのでしょうか。
口から入る場合、空気を吸う場合、皮膚に付着して入る場合などいろいろなケースが考えられます。
ハウスダストの場合、私たちは望んで摂取するわけではありませんが、細かなちりになって飛散しているダストを吸い込んだり、 指先についたものを飲み込んだり、皮膚から吸収されたりというケースが考えられるようです。大人よりも子供、特にハイハイやよちよち歩きをする乳幼児はその摂取量が高いといわれています。
この時期は目覚しい知能発育(神経発達)を遂げる大切なときであり、そんなときにハウスダストを介して望ましくない化学物質を口にしてほしくないものです。
影響を受けやすい弱者のための研究の視点が重要です。
では、家庭用品に利用されている化学物質はどういったメカニズムでハウスダストへ移行するのでしょうか。
一般的に揮発性の高い物質は空気中に、揮発性の低い物質はダスト中に移行しやすい傾向があります。
前述の臭素系難燃剤は揮発性が低い物質ですが、プラスチックの表面劣化でプラスチックとともに粒子としてダストに移行するか、いったん揮発して周囲にあったダストに付着するなどの諸説があります。
製品からの化学物質の放出(揮発やダスト移行)が量的にどのくらいか、温度や湿度などの環境条件によってどのように変化するのか、きちんと調べる必要があります。
その一環として私たちは、チャンバー(温湿度や気流の管理を行った実験空間)を用いた試験を行って、データを取得しています。