・Wikipediaより
精神障害者保健福祉手帳(せいしんしょうがいしゃほけんふくしてちょう)とは、1995年(平成7年)に改正された精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)に規定された精神障害者に対する手帳制度。
表紙の記載から、「障害者手帳」と呼ばれる場合、広義の「障害者手帳」のうち、これのみを指す場合がある。
概要 [編集]
1995年(平成7年)の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正で同法第45条に規定された障害者手帳である。
精神障害者が一定の精神障害の状態であることを証する手段となり、各方面の協力を得て各種支援策を講じやすくすることにより、精神障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的としている[1]。
発達障害者に対しては、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の「第5章 精神および行動の障害 (F00-F99)」に含まれるため、知的障害を伴わない場合で基準を満たせば交付されることとなっている。
本手帳制度の施行により、障害者基本法第2条に規定された障害者(身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む。)があり日常生活に制限を受ける者)に手帳制度が整った。
様式 [編集]
手帳の表紙には「障害者手帳」とのみ表示され、表紙を見ただけでは、精神障害者の手帳であることが分からないようになっている[2]。
これは被交付者のプライバシーに配慮したもので、他の障害者よりも深刻な偏見や差別・価値観の相違による無理解が、なお強く残存する日本の社会情勢を鑑みたものである。
表紙の色は都道府県により異なり、例えば東京都は緑色、千葉県は濃緑色、神奈川県では濃青色、埼玉県では水色である。
手帳には顔写真が貼付される。これは2006年(平成18年)10月1日申請分から改訂されたもので[3]、当初は既存の2制度と異なり写真の貼付は不要であった。更新義務のない身体障害者手帳と異なり2年の手帳有効期限が定められているため、写真の添付されていない旧様式の手帳は、順次写真添付の新様式に更新された[4]。
対象疾患 [編集]
厚生省(現・厚生労働省)保健医療局長通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると下記の疾患が対象である。
統合失調症
躁鬱病
非定型精神病
てんかん
中毒精神病
有機溶剤などの産業化合物、アルコールなどの嗜好品、麻薬、覚醒剤、コカイン、向精神薬などの医薬品
器質精神病(精神遅滞を除く)
その他の精神疾患(発達障害を含み、精神遅滞を伴うものを除く)
※その他の精神疾患にはICD-10に従えば神経症性障害、ストレス関連障害、成人の人格および行動の障害、食行動異常や睡眠障害を含む生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群、心理的発達の障害、小児(児童)期および青年期に生じる行動および情緒の障害など(分類は精神疾患#精神疾患の項を参照)。
等級とその判定 [編集]
等級 [編集]
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」によって手帳には障害の程度により、重い順に1級・2級・3級と決められており、手帳の等級によって受けられる福祉サービスに差がある。
障害等級
精神障害の状態
一級
日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
二級
日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
三級
日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
本手帳の1級は障害基礎年金の1級に、2級は障害基礎年金の2級にほぼ比例する。
3級については障害厚生年金の3級よりも幅が広い。
もっとも本手帳と障害基礎年金は別の制度であり、本手帳の等級が1級であるから障害基礎年金は確実に1級と認定される保証は無い(障害基礎年金の判定業務は日本年金機構が行う)。
障害年金の受給者は、医者の診断書の代わりに年金証書を提示することで年金と同じ等級の手帳の交付を受けられる[5]。
判定 [編集]
判定業務は各地域の精神保健福祉センター(地域によっては名称を精神医療センターとしているところもある)が行う[6]。
判定基準は厚生省保健医療局長通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の中に書かれている「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準」による。
判定材料は申請時に提出された診断書をよりどころにしている。[7]
判定基準は「精神疾患(機能障害)の状態」と「能力障害の状態」の各指標で構成されている。
扶助・優遇・支援の内容 [編集]
等級や各発行自治体により異なるが、共通して下記の福祉施策が実施されている。
租税関連 所得税控除 - 1級は所得税法上の特別障害者となり、控除額が加算される。
住民税控除
相続税控除
贈与税の非課税(1級所持者・6000万円まで)
障害者控除(1級・40万円。2級3級・27万円)
配偶者控除及び扶養控除(1級のみ)
個人事業税減免
自動車税・軽自動車税・自動車取得税減免(1級のみ)
預金利子所得等への非課税適用(マル優) -
詳細は「少額貯蓄非課税制度」を参照
国債や地方債等の利子非課税制度(特別マル優)
自立支援医療費給付手続きの簡素化(自治体によっては簡素化の対象外の場合がある)
生活保護障害者加算(2級以上)
NTT番号案内料金の免除(104番における電話番号案内料金の免除。要申請)
駐車禁止除外指定車標章の交付(1級のみ・住所所轄の警察署の交通課にて申請)
自治体における福祉サービスは、自治体運営交通機関の運賃減免[8][9]・公共施設等の利用料減免[10]・自治体運営住宅への入居優先などがある。
民間事業者にあっては、携帯電話料金(障害者割引サービス (携帯電話)を参照)・映画館や劇場の入場料金[11]・テーマパークや遊園地の利用料金[12]などに割引制度が存在するほか、運賃・料金に割引制度を定める民間の交通事業体[13]も一部に存在する。
NHKでは受信料の免除が設けられている(1級若しくは2級で市県民税非課税世帯)。
自治体におけるサービスは等級によって免除・割引率が違う場合もあるが、民間福祉サービスにおいては概ね等級における変化はない。
手帳を提示することにより受けられる優遇対象は、公共の施設・制度を主としたもので、実質的な優遇内容は被交付者が居住する地域の施設・制度の整備度合いに依存する。
制度の適用範囲に自治体間で相違があることから、他地域へ転居した場合など、他の自治体発行手帳では利用できないサービスも存在する。
これまで精神障害者は法定雇用率の対象とされていなかったが、2006年4月1日の障害者自立支援法施行に伴い精神障害者保健福祉手帳所持者については法定雇用率の対象とされるようになり、2012年には雇用の義務付けの方針が厚生労働省内で定まった[14]。
交通機関の割引等 [編集]
地下鉄や自治体が運営する交通機関・日本のコミュニティバス[15][16][17][18]では割引がある場合が多い一方、2011年現在、多くの日本の鉄道・路線バス運賃[19][20][21][22]、航空運賃[23][24]およびNEXCO管轄の高速道路・有料道路[25]、都市高速などの地方道路公社の多く[26]では精神障害者向けの割引は行われていない[27]。
なお、療育手帳では関係諸団体の運動によりJR運賃等の割引制度が設けられた[28]。
発達障害者の手帳取得 [編集]
厚生労働省は従来より発達障害は精神障害の範疇としていた[29]。同省の通知では申請用診断書に発達障害に当たるICD-10カテゴリーF80-F89、F90-F98の記入が可能である[30]。
参考までに都道府県または政令指定都市によっては知的障害者向けの障害者手帳である療育手帳の取得が可能な場合がある。
日本では発達障害専門の障害者手帳は無い[31]。
交付台帳の整備 [編集]
都道府県知事は精神障害者保健福祉手帳交付台帳を備えて、手帳の交付に関する事項を記載する義務がある。
精神障害者保健福祉手帳を返還をするか死亡した場合、記載された事項は削除される[32]。
記載される個人情報は精神障害者の氏名、性別、住所及び生年月日、障害等級、精神障害者保健福祉手帳の交付番号、交付年月日及び有効期限、精神障害者保健福祉手帳の再交付をしたときは、その年月日及び理由である[33]。
諸問題 [編集]
認定条件は国が示した「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準」によりつつも都道府県、政令指定都市で幅広い裁量があるため、行政行為としての信頼性と安定性を損なっている、障害者施策の推進に手帳が役に立っていない(実質生活保護の障害加算の決定程度)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律には身体障害者福祉法第15条に定めている指定医制度のような制度がなく、事実上知識が浅くても申請用の診断書が書けてしまい、その診断書によって正しい判定がされず障害者の権利侵害につながるなどが指摘されている[34]。
runより:まず言っておきますが化学物質過敏症は精神病じゃないです。
化学物質過敏症が精神病を引き起こすんです。
化学物質過敏症には保険適応以外何も救済措置がありません、電磁波過敏症は病気としてすら見られてません。
精神障害という言葉には納得できないと思いますが障害年金の次の一手だと考えていいと私は思います。