食品中のフラン4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4 我が国における対応
(1)リスク管理機関の取組
農林水産省では、フランについて、「食品安全に関するリスクプロファイルシ
ート」を作成し、優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質(平成18年4月20日現在)に選定するとともに、「サーベイランス・モニタリング中期計画」(平成18~ 22年度)では、加工食品のフランを優先度B(期間内に可能な範囲で実施)として、平成19年度と平成20年度に加工食品中の含有実態調査を実施しています1 6 ) 1 7)。
また、「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(リスク管理型研究)」
( 平成17~19年度)においてトータルダイエットスタディによる食事由来のフラン摂取量を明らかにする調査研究を実施しました1 8 )。
厚生労働省では、「乳幼児食品中の有害物質及び病原微生物の暴露調査に関する研究」(平成19年度)の中で、乳幼児食品中のフラン濃度の実態を把握するため、分析法の検討と食品についての実態調査を実施しました。当調査では、乳幼児向けインスタント食品及び飲料60製品を分析し、乾燥ベビーフードで最高49 ppb※( 49μg/kg)、カップ麺(乾燥)では最高40 ppb( 40 μg/kg)、麦茶(飲料)で21 ppb( 21 μg/kg)のフランが検出され、牛乳では全て検出限界※ (0.2 ppb( 0.2 μg/kg))以下と報告されています1 9 )。

(2)食品安全委員会の取組
食品安全委員会では、平成17年度に文献、リスク評価書等を収集・整理する調査を実施しました。

この調査の結果、フランはコーヒーなどに比較的多く含まれることが確認できました。
しかし、データの蓄積も少ないため、食品中での生成経路、食品別の含有量、暴露量といった詳細については、引き続き新たな知見などの情報収集を行うこととしました。
その後、平成18年度に、食品安全委員会が自らの判断により食品健康影響評価を行うべき案件の候補としてフランについて検討し、自ら評価の案件とはしないものの、ファクトシートを作成し広く情報を提供することを決定しました。
このため、平成19 年度に、日本人のフランの摂取量、フランを含む食品のフラン含有量、フランの体内動態、フラン及びその代謝物の毒性等に関するデータを収集・整理して、ファクトシート作成のための基礎データとすることを目的とした調査を実施しました4 )。
食品(小分類) 調査検体数 フラン分析値(μg/kg)
最大値 平均値
野菜類(野菜ジュース) 5 15 6.4
果実類(果実ジュース) 7 19 5.1
魚介類(魚介缶詰) 5 150 33
菓子類(和菓子類) 5 59 37
菓子類(ビスケット類) 1 17 17
菓子類(その他菓子類) 4 24 19
嗜好飲料(茶) 15 11 2.1
嗜好飲料(コーヒー) 16 150 59
嗜好飲料(その他嗜好飲料) 3 36 16
調味料(ソース) 5 58 43
調味料(しょうゆ) 5 85 57
調味料(みそ) 5 28 20
調味料(その他調味料) 10 95 38
調査により得られた上記分析値、国民健康・栄養調査の各食品分類の摂取量、及び農林水産研究高度化事業の調査結果をもとにフランの一日摂取量を推定した結果、下表に示したとおり、一般の日本人におけるフランの摂取量は、平均で0.29μg/kg体重/日、高摂取群で0.57 μg/kg体重/日に相当すると推定しました4 ) 1 8 )。
また、乳幼児のフランの摂取量は、平均で0.46~ 0.65 μg/kg 体重/日、高摂取群で0.87~ 1.50 μg/kg 体重/日と推定されましたが、調査検体数が少ないことなどから、今後の情報収集によっては、推定値に変動があると考えられました。
フランの推定一日摂取量 総摂取量
( μg/日)
体重当たり摂取量
( μg/kg体重/日)
一般 平均 15.4 0.29
( 注1 ) 高摂取群(注3 ) 30.7 0.57
乳幼児 平均(注4) 4.79~6.74 0.46~0.65
(注2 ) 高摂取群(注5 ) 9.03~ 15.5 0.87~ 1.50
注1 乳幼児以外の者。平均体重は5 3 . 3 k g で推計。
注2 1 ~ 2 歳の乳幼児食を摂取する者。ベビーフードの調査検体数が少なかったため( 1 0検体)、摂取量の算出は分析値の平均値及び9 5パーセンタイル値を使用。平均体重は1 歳児の1 0 . 4 k gで推計。
注3 菓子類、嗜好飲料、調味料・香辛料の摂取量が多い者。
注4 乳幼児食3 0 % 、一般食7 0 % を摂取している者。
注5 乳幼児食1 0 0 % 摂取している者。
一般の日本人における推定摂取量0.29 μg/kg 体重/日は、JECFA が2010(H22)年2 月に公表した食事を介したフランの平均摂取量1 μg/kg 体重/日( 0.001 mg/kg体重/日)と比較すると1/3 以下の値となり、高摂取群においても、JECFA が公表した高摂取群の推定摂取量( 2 μg/kg 体重/日( 0.002 mg/kg 体重/日))のおよそ1/3~1/4 に相当することがわかりました。

ただし、その際の調査では、全ての食品群が網羅されておらず、さらに調査が必要とされており、今後の情報収集によっては推定摂取量の変動があると考えられました。
フランについては、前述のとおり、米国を始めとした各国より懸念を示唆する報告が出されていますが、評価を行うために必要な毒性に関する情報などが十分に入手できていないことから、引き続き国内外の情報収集を継続していきます6 )