・3 国際機関・諸外国における対応
( 1 ) FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA) 6 )
JECFA は、第72 回会議(2010(H22)年2 月)において、子供も含めたフランの食事からの摂取量を、平均で0.001 mg/kg 体重/日、高摂取群で0.002 mg/kg 体重/日と推定しました。
さらに、マウスの肝細胞腺腫及び肝細胞がんの発生が対照群と比較して10 %増加するベンチマーク用量信頼下限値(BMDL1 0 ) ※ を0.96 mg/kg
体重/ 日と計算し、各推定摂取量との比較から、暴露マージン( Margin of
Exposure: MOE) ※をそれぞれ960 及び480 と算出しました。
JECFA は、フランをDNA 反応性があり遺伝毒性を持つ代謝物を通して作用する発がん性物質として、MOE が小さくヒトの健康への懸念を示唆するものと見なしました。
(2)米国食品医薬品庁( FDA)
FDA は、2004(H16)年5 月に、缶詰や瓶詰のような加熱処理した加工食品中にフランが含まれている可能性があるという調査結果を発表し、「食品中のフランの発生についてのQ&A」を公表しました8 ) 9)。
FDA は、その後も食品中のフランに関する調査を実施し、2004(H16)年6 月、2005(H17)年6 月、2006(H18)年10 月、2007(H19)年8 月、2009(H21)年9 月に、調査結果を公表しています3 )。
また、2005(H17)年9 月には、「食品中のフランに関するアクションプラン」を
公表し、食品中のフランの含有量の把握、生成機序の解明、毒性評価、暴露評価※等を目標に、数年間にわたって以下の事項を実施することとしています1 0)。
①分析方法: GC/MS 法※によるフラン定量分析法の改良と分析専門員の養成
②試験サンプル: 約350 品目の食品試料の追加分析とトータルダイエットスタディ※における選択サンプルの分析
③暴露評価:最新の分析結果を基に推定した暴露評価データの随時更新
④毒性、リスク評価及びリスク管理:フランの慢性毒性、発がん性、変異原性※を含めた各種毒性試験実施とリスク評価
⑤情報提供及び教育:公聴会の開催やホームページでのQ&A による市民への最新情報の提供と食事指導