PM2.5と健康影響5 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・3)将来研究


PMの将来研究で求められる領域は数多くあるが、なかでも現在最も重視され、早期に解明されることが望まれる研究領域は2つある。

1つは、PMは物理的・化学的に複雑な多様な多種(複合)汚染物質で、PMのどの組成及び/またはどの発生源が観察されている健康影響に関与しているかを解明すること、2つ目は、大気汚染対策により主要な大気汚染物質濃度が減少しているなかで、脆弱性集団と感受性集団への影響を明確にすることにより、効果的効率的な大気汚染対策につなげるための研究が現在、進行している。

[1]National Particle Components Toxicity(NPACT)研究


PMと健康影響の関連の評価に関しては、すでに述べたように、PMそれ自体が複雑な混合物であること、健康影響に関しては、心血管系、呼吸器系、中枢神経系、生殖、発達、癌など多彩な健康アウトカムとの間に関連が見られ、PM(PM2.5、PM10-2.5及びUFPs)のどの組成あるいは組成グループ及び/またはどの発生源がこれらの多様な健康影響に関連しているのかを解明することにより、その影響をもたらす組成及び/または発生源を標的にした削減対策が取れるので、環境政策的にも喫緊の課題である。そこで、さまざまな粒子タイプの健康影響を系統的に調べるためのNPACT研究が実施されている。この研究は、HEIを中心に、EPA、州、各種産業や環境グループによって支援されている。


主要な研究は、University of Washington/Lovelace Respiratory Research Institute(UW/LRRI)によって人のコホート(同一集団を追跡)とマウスでPM2.5成分とガス状汚染物質の、特に心血管系への長期間曝露の影響、New York University(NYU)チームによる大気中の粒子組成とガス状汚染物質の人の集団とマウスへの長期及び短期間曝露の心血管系への影響、Yale Universityチームによる米国の200都市以上でPM組成の死亡率、また64都市で年配者における入院と罹患の時系列解析による短期間曝露の影響、またMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis and Air Pollution(MESA Air:アテローム性動脈硬化症と大気汚染の多民族研究:6首都圏の9地域で8,700人の参加者)、Women's Health InitiativeーObservational Study(WHI-OS:45都市における90,000人の婦人)、American Cancer Society(ACS)コホート研究(100都市)などである。これらの研究結果の一部は現在Second Draftが作成され、改定作業が行われている。


上記の研究の多くは、PM2.5に焦点が当てられているが、PM10-2.5及びUFPsに関しても同様の調査が行われている(例えば、NYUのチーム)。

[2]PMの健康影響を受けやすい脆弱性集団と感受性集団


Vulnerable(脆弱性)集団とは、自動車沿道など他の地域に比べ大気汚染濃度が高い地域、いわゆるホット・スポットに居住する集団(例えば、EPAは、米国の主要道路から100メートル以内に4,500万人以上の人々が居住し、また約200万人の子どもが主要道路から200 メートル以内の学校に通学していると推定)で、かつこれらの集団は、社会経済的状態も劣る人々が多い傾向がみられ、PMを含む大気汚染の影響を受けやすい集団とEPAは考えている。


Susceptible(感受性)集団とは、大気汚染への曝露に関係した健康への悪影響をより強く経験しそうな集団で、胎児、乳幼児や子ども、年配者、そして心血管系及び呼吸器系疾患患者などが含まれる。

またPMへの曝露の感受性を増加させるかもしれない健康状態として、糖尿病、肥満、神経障害などが注目されている。

子どもも感受性集団として考えられ、特に呼吸器の発達への影響が注目されている。

これらの感受性集団の総人口に占める割合は高いので無視できない。

遺伝的感受性やどのような因子(例えば、食事、服薬、ストレスなど)が社会経済的状態の差をもたらすのかも関心事となっている。


結論


PMの濃度は大気汚染対策により先進諸国では確実に低下傾向にあるが、PMの物理的・化学的性質の多様性と多様な質の健康影響、そして濃度-反応関係で閾値が見られないこと、影響を受けやすい脆弱性集団と感受性集団の大きさなどを考えると、解決しなければならない課題は山積しているので、さらなる研究の展開が望まれる。


runより:PM2,5という物がどういう物か大体わかったかと思います。

問題は「化学物質過敏症患者にとって脅威かどうか?」となります。

今は少し体調がすぐれないので落ち着いたら私見を書きますね。