PM2.5環境基準の設定について3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・PM2.5の組成と測定について

都市部一般環境大気測定局と自動車排出ガス測定局のPM2.5濃度は急激に近づいており、一次排出主成分であった自動車排出ガス由来の元素状炭素(EC)濃度が急激に低下しており、2008年度ではその差は1µg程度となっている(図6)。

図6より、存在状態が変化しやすいものや吸湿性の高いものから構成されている二次生成無機成分(硝酸塩:NO3-、硫酸塩:SO42-、塩化物:Cl-、アンモニウム塩:NH4+)と高極性成分をも含む有機粒子(有機炭素:OCとしての炭素だけでなく、有機成分中の炭素含有率でOCを割った値)の合算割合がPM2.5の7、8割を占めていることがわかる。

このような結果は、フィルタ上に採取し、高い再現性をもってPM2.5の質量を測定するには、粒径の分離条件、吸引流量、試料採取中ならびに秤量の前後における温度・湿度など、多くの条件を厳密に定義する必要があることを示している。


図6●PM2.5の成分別組成(2008年度の平均値)

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出展)環境基準専門委員会報告、平成21年度9月

これらを考慮して、告示された環境基準における測定法としては、米国環境保護庁(EPA)の連邦標準法(FRM)に相当するろ過捕集からなる標準法、それに対しての等価法としての自動測定機による方法が定められ、上記標準法と等価法の基本的な条件や等価性の評価方法等がまとめられてきた。

しかし、上記二つの測定方法は、これまでの多くの疫学データや測定データの存在、適切な分級装置の存在、なども考慮して決められたものであり、測定に関わるすべての問題を完全にクリアできているとは言えない点もある。

図6に示したように、現在のPM2.5の主要成分は二次生成無機成分や有機粒子となっており、それらは気温や湿度、粒子組成に依存するガス/粒子平衡など複雑な挙動をとる。

そのため、発生源や環境条件の変化に伴うPM2.5濃度を化学輸送モデル(CTM)により予測し、上記の測定法による測定値と比較評価する場合には注意すべき点が残されている。