研究・解明が進むPM2.5(微小粒子状物質) | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・出典:日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/index.html
[研究・解明が進むPM2.5(微小粒子状物質)]

PM2.5と大気環境


埼玉県環境科学国際センター総長 坂本 和彦

はじめに

大気中に存在する汚染物質は大きくガス状物質と粒子状物質(PM)に分類されるが、PMの代表的なものとして石炭燃焼により排出される煤じんと亜硫酸ガス(二酸化硫黄:SO2)が挙げられる。


今年は1952年12月に最も有名なロンドンスモッグがイギリスで発生して60年目に当たる。

このロンドンスモッグは、地表から放射冷却という現象により熱エネルギーが宇宙へ失われ、冷たい大気の上に暖かい空気層が存在する状態、接地逆転層の出現により上下方向に対流混合が起こりにくくなり、地表付近から排出された煤じんとSO2が狭い範囲の大気層に閉じ込められて高濃度汚染が発生した激甚公害である。

このスモッグは約1週間にわたって続き、その間に測定されて総粉じんとSO2の濃度変化と過剰死亡者数の変化が良く相関しており、これらの疫学的な調査研究から汚染物質濃度と健康影響の関係が明らかにされていったわけである(図1)。

一般に、燃焼により排出される煤塵には極めて小さい粒子が含まれており、粒子が小さければ小さいほど呼吸器系の深部まで吸入されていくため、粒径に応じて呼吸器系の各部位に沈着し、人の健康に大きな影響を与える。


図1●1952 年のロンドンスモッグ事件当時の大気汚染物質濃度と死亡者数

化学物質過敏症 runのブログ-1

出典)J. Royal Sanitary Institute, 1954, Wilkins

大気中に浮遊しているPMには、上記の燃焼とともにタイヤの摩耗などの機械的作用により発生するタイヤダストなどの一次発生粒子と、さまざまなガス状成分(SO2、窒素酸化物:NOx、揮発性有機化合物:VOCなど)がNOxと太陽光の共存下で光化学反応を引き起こして、スモッグを発生する二次生成粒子がある。

そのため、大気中のPMには極めて多くの成分が含まれており、かつその発生の仕方によって粒径も異なっているので、PMによる健康影響やその影響低減のため対策を考えるためには、二次生成を含めて発生源別に組成と粒径についての情報を知る必要がある。


ここでは、大気中におけるPMの発生、組成や健康影響、並びにPM2.5の環境基準の設定や組成と測定について概説する。