・特定化学物質による中毒(平成20年)
発生月 業種 被災状況 要因分類 原因物質 発生状況 発生原因
2月 宿泊業(9803) 中毒11名 特定化学物質 硫化水素 ホテルにおいて、塩酸含有トイレ用洗浄剤と硫黄含有入浴剤が、浴槽内で化学反応して硫化水素が発生し、ホテル内に漏れたため、窓やドアを全開にし、客を退出させる作業を行ったところ、硫化水素ガスを吸入し、硫化水素中毒となった。 換気不十分。
緊急対応マニュアル未整備
2月 医療保健業(9424) 中毒1名 特定化学物質 塩素 食品検査室において、冷蔵庫内に保管されていた溶液を酸性溶液が入った廃棄用ポリタンクへ廃棄したため、塩素ガスが発生したため、ポリタンクの蓋を閉める作業を行ったところ、発生した塩素ガスを吸入し、塩素中毒となった。 危険有害性の認識不足
作業標準不徹底。
2月 その他の食料品製造業(4110) 中毒4名 特定化学物質 硫化水素 炉筒煙管ボイラーの煙道灰出し作業において、クッカーで発生する硫化水素がボイラー炉内に排出されていたため、硫化水素ガスを吸入し、硫化水素中毒となった。 危険有害性の認識不足
作業標準不徹底。
3月 無機工業製品製造業(4702) 中毒23名(大量漏えい) 特定化学物質 弗化水素 高純度弗化水素酸製造設備において、停電のため、無水弗化水素の精製塔及び吸収塔の自動制御装置が停止した際、排気設備が作動しなかったため、精製塔及び吸収塔内の弗化水素が、製造設備の屋上の排煙設備から漏れた。漏れた弗化水素ガスを吸入し、中毒となった。 設備の点検不足。
3月 無機工業製品製造業(4702) 大量漏えい 特定化学物質 弗化水素 弗化水素の高純度化工程において、液体弗化水素と気体弗化水素を分別し、気体弗化水素を水で希釈させ、屋外に排出する作業を行っていたところ、供給電力が瞬間的に遮断されたため、弗化水素が分別されず、ポンプ停止により希釈もされなかったため、弗化水素ガスが屋外へ漏洩した。 緊急対応マニュアル未整備
設備の点検不足。
3月 鉄骨造り又は鉄骨鉄筋若しくは鉄筋コンクリート造りの家屋の建設事業(3501) 中毒5名 特定化学物質 塩素 残土移動作業において、ドラグ・ショベルで残土を移動させたところ、地中に埋まっていたボンベから塩素ガスが噴出し、ドラグ・ショベルの運転者が塩素ガスを吸入し、塩素中毒となった。 作業標準不徹底
安全衛生教育不十分。
4月 宿泊業(9803) 中毒9名 特定化学物質 硫化水素 ホテルにおいて、客室係が室の清掃のため室の扉を開けたところ、浴室の浴槽内で入浴剤とトイレ洗浄液が化学反応し、硫化水素ガスが発生していたため、硫化水素ガスを吸入し、硫化水素中毒となった。 危険有害性の認識不足
換気不十分。
4月 その他の化学製品製造業(4709) 中毒2名 特定化学物質 硫化水素 石灰硫黄合材の製造工場において、製品タンクに入って、タンクに沈殿した残渣物の清掃作業を行っていたところ、発生した硫化水素ガスを吸入し、硫化水素中毒となった。救助に入った者も同様に硫化水素中毒となった。 危険有害性の認識不足
作業標準不徹底
安全衛生教育不十分。
4月 ボルト、ナット、リベット、小ねじ、木ねじ等製造業(5407) 薬傷4名、中毒4名 特定化学物質 硝酸、(二酸化窒素) 屋外の少量危険物倉庫前において、硝酸廃液を空ドラム缶へ移し替え作業中、移し替えの途中で作業指示の間違いに気づき、作業を中断し、ドラム缶の蓋を閉めた。その後、ドラム缶から硝酸廃液を抜き取るため、ドラム缶の蓋を開けたところ、ドラム缶から噴出した硝酸廃液を浴び、薬傷を負った。同時に噴出した二酸化窒素ガスを吸入し、中毒となった。 危険有害性の認識不足
作業標準不徹底
呼吸用保護具の未着用。
4月 計量器、測定器製造業(6001) 中毒3名 特定化学物質 硝酸 クリーンルームの水晶振動子のエッチング作業において、硝酸を廃液用ポリタンクに入れ、薬品庫に保管したところ、硝酸と廃液中の物質が反応して発熱、ガスが発生し、容器内圧の上昇によりポリタンクが破裂し、硝酸が床に流出し、発生した硝酸ガスがクリーンルーム内に拡散し、硝酸ガスを吸入し、中毒となった。 作業標準不徹底
安全衛生教育不十分。
4月 清掃業(9101) 薬傷4名 特定化学物質 塩素化ビフェニル PCB廃棄物処理施設のコア解体室において、コンデンサ及びトランスの内部の鉄心、コイル等の解体を手作業で行っていたところ、顔又は手に塩素化ビフェニルが接触し、接触性皮膚炎となった。 危険有害性の認識不足
保護具の未着用。
5月 有機工業製品製造業(4703) 中毒4名 特定化学物質 塩素 ポリカーボネート製造装置の定期修理完了後のスタートアップ作業において、塩素供給ラインの脱圧バルブを開放した状態でバルブ操作が行われたため、塩素タンクと排気口が直結し、排気口から塩素ガスが大気中に漏洩し、塩素ガスを吸入して中毒となった。 作業標準不徹底。
6月 医療保健業(9424) 中毒2名 特定化学物質 塩素 病院において、塩素系洗浄剤と食器用洗剤を混ぜてストローで吸引した患者の治療を行っていたところ、発生した塩素ガスを吸入し、塩素中毒となった。 危険有害性の認識不足
換気不十分