化学物質による災害発生事例について:有機溶剤2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・有機溶剤による中毒(平成18年)

発生月 業種 被災状況 要因分類 原因物質 発生状況 発生原因
1月 (5801)自動車製造業 死亡1名 有機溶剤 エチレングリコールモノブチルエーテル  自動車製造ラインの自動塗装工程において、ボデーに塗布する防錆塗料の成分調整を行うため、ボデーをドブ浸け塗装するためのエチレングリコールモノブチルエーテルの入った塗料槽の中に、添加剤を注ぎ入れる作業を行っていたところ、誤って塗料槽の中に転落したもの。

作業標準なし
転落防止措置なし
1月 (5692)洋品雑貨・小間物小売業 中毒1名 有機溶剤 アセトン  店内清掃作業中、陳列棚等にあった粘着シールのはがし跡をふき取るため、アセトン含有の除光液を染み込ませた布を使用していたところ、作業開始から約1時間後に気分が悪くなり、病院へ搬送された 換気不十分(全体換気装置のみ)
呼吸用保護具なし
1月 (6104)可塑物製品製造業 死亡1名 有機溶剤 ジクロルメタン  偏光フィルムの製造工場におけるプラスチックフィルムにジクロルメタンと樹脂を塗布する設備の整備中に、ジクロルメタンを吸入したもの。

搬送先で14日後に死亡した。 単独作業
隔離設備内の作業環境測定実施せず
隔離設備内作業中の換気不十分
呼吸用保護具(低濃度用有機ガス用防毒マスク)の破過

2月 (4708)火薬、煙火又はマッチ製造業 中毒1名 有機溶剤 トルエン  電子材料を製造中、圧力容器内で反応させた反応液をトルエンで洗浄、乾燥後、濾過器に残った結晶を大型スコップでポリ袋に取り出す作業のため、濾過器の蓋を開けたところ、流出したトルエンにばく露したもの。

換気不十分
呼吸用保護具装着不十分
作業主任者監視不適切(防毒マスクの着用)
安全衛生教育不十分

3月 (5201)その他の金属製品製造業 中毒1名 有機溶剤 トリクロルエチレン  金属部品の熱処理工程で、当部品をトリクロルエチレン洗浄装置(槽)にて脱脂洗浄後、筒底に残留したトリクロルエチレン等(5ml/個)を手作業にて取り除く作業を、局所排気装置等の有効な換気設備がなく、呼吸用保護具を着用せずに行っていたもの。病院で「全身性接触性皮膚炎・中毒症」との診断を受けた。 作業主任者職務不履行(作業指揮、保護具の着用監視等)
MSDS情報周知せず
換気不十分
呼吸用保護具不着用

3月 (5701)発電用、送電用、配電用又は産業用電気機械器具製造業 中毒1名 有機溶剤 キシレン  始業から工場内出荷場において、作業者が、キシレンを含有するラベル剥がし剤を使用しシール類を剥がす作業を、スプレー臭を漂わせないよう自然換気で行っていたところ、同一作業場内で、半導体製品の出荷作業に従事していた者が急性有機溶剤中毒になったもの。

有害性情報提供されず
有害な場所への関係者以外の立入禁止措置未措置
換気不十分
呼吸用保護具不使用

3月 (4207)被服、繊維製身のまわり品製造業 中毒1名 有機溶剤 トルエン ウエットスーツ、つり用防寒具等を製造するに当たり、第二種有機溶剤を含有する接着剤等を用いた塗布作業や拭き取り作業を行っていたところ、急性トルエン中毒になったもの。

管理監督者の安全衛生に関する認識不十分
MSDS交付されず
作業主任者選任せず
呼吸用保護具なし
換気設備等未設置

4月 (5804)航空機製造業 中毒1名 有機溶剤 トルエン  航空機用ねじのネジを入れ有機溶剤(トルエン99.9%)により洗浄する作業を、防じんマスクを着用して朝から何回も繰返し行っていたところ、製品の品質管理上、埃が入らないように壁面のガラス戸を閉鎖し、洗浄作業用の換気設備も行わなかったもの。

換気不十分
有機溶剤の気中濃度測定不十分
呼吸用保護具選択不適切(被災者が防毒マスクか防じんマスクかの区別つかずに使用)
作業主任者職務不履行(作業者に直接指揮せず)

4月 (9101)清掃業 中毒1名 有機溶剤 酢酸エチル、ミネラルスピリット等  作業場に設置してある焼却装置の外壁等の塗装作業を家庭用油性塗料(合成樹脂塗料)及び希釈剤(ラッカーうすめ液)を使用して11日間行った。作業終了4日前頃から、塗料の濃度が濃くなったため希釈するための希釈塗料を使用し始めていたところ中毒になった。

呼吸用保護具選択不適切(使い捨て用防じんマスク使用)
屋外作業における作業環境管理不適切

4月 (4703)塩化ビニール樹脂コンパウンドの製造 死亡1名 有機溶剤 ジクロルメタン  塩化ビニール樹脂プラントにおいて、原料を混合する工程で使用される撹拌槽の掃除を行うため、撹拌槽の内部に作業者が独自の判断で防じんマスクを着用して入り、ジクロルメタンを使用して清掃作業を行っていたところ、同溶剤の蒸気を吸入し、ぐったりしているところを発見され、病院に救急搬送されたが、ジクロルメタン中毒で死亡した。

単独作業
作業主任者選任せず
換気不十分
使用有機溶剤に係る掲示・表示なし
有機溶剤濃度測定せず
呼吸用保護具選択不適切(防じんマスク使用)

4月 (5703)電球製造業 中毒1名 有機溶剤 アセトン   

社内の安全担当部署の了解なく外注して行わせていた事務所内のフロア張替工事において、換気扇を稼働させながら、有機溶剤含有接着剤を床に塗布していたところ、室内に雨が入らないように窓の開放部分を小さくしたため、換気が悪くなったもの。

被災者事業場(注文者)における発注時の連絡調整不十分
作業関係者以外の立入禁止措置なし
施工業者側の作業主任者選任せず
換気不十分

4月 (1739)その他の有機化学工業製品製造業 中毒1名 有機溶剤 クロロホルム  乾燥機室において、乾燥機に付着したリン脂質を除去するため、局所排気装置を作業開始時には稼動させず、被災者がクロロホルム(純度100%)を使用して手作業で防毒マスクを着用せずに乾燥機を洗浄していたところ、揮発したクロロホルムの蒸気を吸い込んだもの。

作業主任者選任せず
換気不十分
呼吸用保護具不使用
作業環境測定実施せず
安全衛生教育不十分

4月 (5411)その他の金属製品製造業 中毒1名 有機溶剤 ジクロロメタン  工場内の洗浄室において、バスケットに付着した塗料を取り除くべく、バスケットをジクロロメタン槽に浸透させた後、圧搾空気の吹付を行っていたところ、窓を閉じ、換気設備を設置しない状態で呼吸用保護具を着用せずに作業を行っていたため、ジクロロメタンを吸入して有機溶剤中毒になった。

作業主任者職務不履行
換気設備設置せず
呼吸用保護具不着用

5月 (3601)各種機械装置の組立て又はすえ付けの事業 中毒2名 有機溶剤 トルエン  設備修理工事で、元請から接着剤中の有機溶剤について知らされないままで、タンク内部で接着剤を使ってのゴムライニング作業を行っていたところ、保護具も使用しないまま作業に従事していたため、有機溶剤中毒になった。

さらに救出するために、監視役の労働者が保護具を使用しないままタンク内部に入り、2次災害に至った。

MSDS周知せず(元請)
作業主任者選任せず
有機溶剤事前濃度測定せず
換気不十分
呼吸用保護具不使用
安全衛生教育不十分

5月 (5901)造船業 中毒1名 有機溶剤 トルエン  貨物船のバラストタンク内において、被災者が防錆用の塗装作業を行うためタンク内に立ち入ったところ、着用していたエアラインマスクのホースがマンホールのボルトに引っかかり、それを直そうとマスクを外したところ、近傍で使用されていた塗料(主成分トルエン)により急性有機溶剤中毒になった。

呼吸用保護具使用時における障害物の放置

5月 (5607)一般産業用機械装置製造業 中毒1名 有機溶剤 トルエン 中古機械の洗浄作業に当たり、当初は屋外での作業を予定していたものの、やむをえず組立工場内において作業を行うこととした。

機械の内側に入り扇風機を2台動かしながら防じん用簡易マスクを装着して、トルエンを使用して洗浄作業をしているときに、有機溶剤中毒になった。 非定常作業における作業標準不徹底
作業主任者作業指揮不十分(不適切保護具の使用黙認)
換気不十分
呼吸用保護具不適切(防じん用簡易マスク→有機ガス用防毒マスク)

6月 (3501)鉄骨鉄筋コンクリート造の家屋の建設事業 中毒1名 有機溶剤 酢酸エチル  排水槽の防水加工用塗装の下塗作業を単独で行っていたが、短い時間で終わると思い、騒音を小さくしようと、排気ファンを設置・稼働せず、送気ファンのみの稼働としたため、換気が十分に行われず、かつ貸与された有機溶剤用防毒マスクを着用せずに行ったため、有機溶剤中毒になった。

単独作業
作業主任者職務不適切(保護具使用監視)
換気不十分
呼吸用保護具不使用

7月 (6116)その他の各種製造業 中毒1名 有機溶剤 クロロホルム等  複写機・FAX機等の感光ドラムに有機溶剤(クロロホルム等)含有の混合溶媒の塗布、洗浄作業を行っていたところ、塗布槽フード、洗浄槽の制御風速が不十分で、局所排気装置のフードの中での乾燥が終わらないうちに、次の工程に移動させたり、塗布装置に近づく時だけ防毒マスクを着用していたもの。

作業主任者職務不履行(作業方法、保護具使用状況の監視)
換気不十分
呼吸用保護具不使用
安全衛生教育不十分

7月 (3501)鉄骨造り又は鉄骨鉄筋コンクリート造りの家屋の建設事業 中毒4名 有機溶剤 シンナー  塗装の下請工事において、水性の塗料を用いて天井を吹付け塗装を行っていたが、塗装ののりが悪いため、元請への相談もなく、有機溶剤系の塗料を下地として吹付けていたところ、ばく露防止措置を講じないまま作業を行っていたもの。

約2時間経過後に従事していた労働者4名全員がシンナー中毒になった。 作業主任者選任せず
関係事業者間の連絡調整不十分
呼吸用保護具不使用
換気不十分

7月 (4709)その他の化学製品製造業 死亡1名 有機溶剤 クロロホルム  医薬品原体の精製作業を事業主と被災労働者2名で行っていたが、屋内作業場から発せられる悪臭に近隣住民からの苦情が続いていたので、それに対処するために、窓や出入口を目張りし、排気装置も有効に稼働させず、呼吸用保護具も着用しないままで作業したもの。

作業者2名とも中毒による意識不明となった。

管理監督者(被災者)の安全衛生に関する認識不十分
作業主任者選任せず
換気装置不適切
呼吸用保護具不使用