・厚生労働省HPより
http://www.mhlw.go.jp/index.shtml
化学物質による災害発生事例について
有機溶剤による中毒(平成17年)
発生月 業種 被災状況 要因分類 原因物質 発生状況 発生原因
2月 建築工事業 中毒1名 有機溶剤 ジクロロメタン 浄水場改修工事において、沈殿タンク内の沈降槽内部で、被災者がジクロロメタンを主成分とする塗料剥離剤を用いて防水塗装の剥離作業中、剥離剤に含まれていた有機溶剤を吸入したもの。
沈降槽内は換気が行われておらず、被災者は呼吸用保護具を着用していなかった。 呼吸用保護具未着用
換気不十分
2月 窯業土石製品製造業 中毒1名 有機溶剤 トルエン 工場内の塗布室において、被災者がトルエンと接着剤と硬化剤を調合した接着用塗料を用いて作業を行っていた際に、トルエンを吸入したもの。
当該作業時、被災者は呼吸用保護具を着用していたが、局所排気装置の制御風速が法定値以下であり、換気が不十分な状態にあった。
換気不十分
作業主任者職務不履行
4月 金属製品製造業 中毒1名 有機溶剤 ジクロロメタン 作業場内にて、内径1.11m、高さ1.115mの円筒状の真空装置部品の内壁の洗浄作業を被災者がジクロロメタンを主成分とする洗浄液を用いて行っていた際に、ジクロロメタンを吸入したもの。
当該作業時において、被災者は呼吸用保護具を着用していなかった。
また、当該事業主が被災者に対して有機溶剤に対する安全衛生教育を実施しておらず、当該作業に係る作業手順を示していなかった。
危険有害性の認識不足
局所排気装置未設置
安全衛生教育未実施
作業主任者未選任
呼吸用保護具未着用
4月 広告・あっせん業 中毒1名 有機溶剤 酢酸ブチル 事業場の会議室において、被災者が壁などの汚れを化粧品(酢酸ブチルを25%含有する除光液)を用いて清掃する作業を行っていた際に、有機溶剤を吸入したもの。
災害発生時において会議室内の窓は開いていたが、換気は不十分な状態だった。
換気不十分
危険有害性の認識不足
5月 化学工業 中毒1名 有機溶剤 トルエン等 一斗缶の内容物を有機溶剤が入っている攪拌機に投入するため、被災者が攪拌機の蓋を開けたとき、攪拌機内に充満していた有機溶剤蒸気を吸入したもの。
当該作業時において、被災者は呼吸用保護具を着用していなかった。
呼吸用保護具未着用
作業主任者未選任
作業標準未作成
7月 金属製品製造業 中毒1名 有機溶剤 トリクロロエチレン 洗浄装置を廃棄処分するため、装置内に入っていたトリクロロエチレンの抜き取り作業を行った後に、装置内にこぼれていた被洗浄物を拾い上げるため、被災者が装置内に入ったところ、装置内に残留していたトリクロロエチレンを吸入したもの。
当該作業時、被災者は防毒マスクを着用していたが、装置内に入って数分で吸収缶が破過したものと推定される。
換気不十分
不適切な保護具の使用
危険有害性の認識不足
作業主任者職務不履行
7月 化学工業 中毒1名 有機溶剤 アセトン 合成樹脂製造工場内において、エポキシ樹脂で汚れた床を清掃するため、被災者がアセトンを含ませたウエスを用いて床面の拭き取り作業を行っていたとき、アセトンを吸入したもの。
当該作業時において、被災者は呼吸用保護具を着用していなかった。
換気不十分
危険有害性の認識不足
安全衛生教育未実施
作業主任者職務不履行
9月 金属製品製造業 中毒2名 有機溶剤 トリクロロエチレン トリクロロエチレン蒸気浴洗浄装置が故障したため、被災者らが当該装置が設置されているピット内にて修理作業を行っている際に、トリクロロエチレン蒸気を吸入した。
ピット内は1.3平方メートルの開口部しかなく、換気が不十分な状態にあった。
また、被災者らは呼吸用保護具を着用していなかった。
換気不十分
呼吸用保護具未着用
危険有害性の認識不足
9月 派遣業 中毒1名 有機溶剤 ジクロロメタン 塗装工場において、剥離剤を使用して航空機部品の塗装不具合箇所の塗装を剥離する作業を行っていた際に、剥離剤に含有されていたジクロロメタンを吸入して中毒を起こしたもの。
被災者は呼吸用保護具を着用していなかった。
換気不十分
危険有害性の認識不足
呼吸用保護具未着用
10月 建築工事業 中毒1名 有機溶剤 トルエン 建築工事現場の倉庫下の地下ポンプ室において、被災者がトルエンを含有する防水塗料を用いて床の防水塗装工事を行っていた際に、有機溶剤を吸入したもの。
災害発生時において、被災者は呼吸用保護具を着用しておらず、当該作業場には換気装置は設置されていなかった。
換気不十分
呼吸用保護具未着用