・出展:農業情報研究所
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ネオニコチネイド系殺虫剤がミツバチを減少させる 二つの新研究が立証
世界中で起きているミツバチの不可解な減少がネオニコチネイド系殺虫剤と関連していることを立証する二つの研究が現れた。
いずれもScience誌の3月29日付オンライン版で発表されたもので、室内実験に基づく従来の研究と異なり、より現実に近い屋外実験に基づく研究である。
ミツバチ減少とネオニコチネイド系殺虫剤の関連性は、もはや疑うことができなくなった。
フランス国立農学研究所(INRA)の研究者による第一の研究*は、フランスで”Cruiser”と呼ばれるネオニコチネイド系殺虫剤の活性成分をなすチアメトキサムがミツバチの方向感覚を奪い、帰巣できなくさせるという養蜂業者等の主張の当否を確かめようとするものである。
653匹のミツバチの胸部に微小なICチップを付け、巣を飛び立つところから帰るところまでを追跡した。
低容量でもチアメトキサムに曝したミツバチは、10%から31%が帰路を見失った。
巣から遠く離れてところで死ぬ率が通常の3倍にもなった。
これは、チアメトキサムが蜂群崩壊症候群(CCD)と関連していることを示唆する。
フランス農業省は、直ちにCruiser禁止を検討すると発表した。
イギリス・スターリング大学の研究者による第二の研究**は、世界中で広く使われているもう一つのネオニコチネイド系殺虫剤活成分・イミダクロプリドにかかわる。
この薬剤で処理されたナタネに見出されるのと同じ容量のイミダクロプリドを食べさせたマルハナバチの巣を対照群と比べると、8%から12%軽かった。
ハチは栄養不足になっている。
もっと驚くべきことに、イミダクロプリドに曝された蜂群は、冬を超して新たな蜂群を作る女王蜂の生産能力を、ほとんど(85%)失っていた。
これがミツバチの数を大きく減らすことになるのは間違いない。
*Mickaël Henry et all.,Common Pesticide Decreases Foraging Success and Survival in Honey Bees,Science 1215039Published online 29 March 2012
Abstract;Full Text;Full Text (PDF);Supporting Online Materials