2.副作用の概要
薬剤性過敏症症候群は、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症と並ぶ重症型の薬疹である。
発熱を伴って全身に紅斑丘疹や多形紅斑がみられ、進行すると紅皮症となる。
通常粘膜疹は伴わないか軽度であるが、ときに口腔粘膜のびらんを認める。
また、全身のリンパ節腫脹、肝機能障害をはじめとする臓器障害、末梢白血球異常(白血球増多、好酸球増多、異型リンパ球の出現)がみられる。
比較的限られた医薬品が原因となり、また、通常の薬疹とは異なり、原因医薬品の投与後2 週間以上経過してから発症することが多く、原因医薬品を中止した後も進行し、軽快するまで1 ヶ月以上の経過を要することがしばしば認められる。
経過中にHHV-6 の再活性化をみる。
(1)自覚症状
発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲不振、皮疹
(2)他覚症状
全身に紅斑、丘疹が多発し、次第に融合する。極期には顔面にも強い浮腫を伴う紅斑を認め、特に鼻孔周囲・口囲に丘疹や痂皮を認める。
リンパ節腫脹、肝脾腫を認めることが多い。
(3)臨床検査値
白血球上昇(初期には白血球減少)、好酸球増多、異型リンパ球の出現、肝機能障害、腎機能障害、CRP の上昇。また、初期には免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA)の減少を認めるが、発症後3~4 週間でHHV-6 IgG抗体価が上昇する。
(4)画像検査所見
呼吸器症状をともなう場合、胸部X 線写真、単純胸部CT で肺水腫、肺炎、間質性肺炎の像をチェックする。
いずれの場合も各診療科とのチーム医療が重要となる。
(5)病理組織所見
主に真皮の炎症細胞浸潤と浮腫が認められ、ときに表皮内へ炎症細胞の浸潤を認める。
(6)発症機序
医薬品に対するアレルギー反応により発症すると考えられている。
アレルギー反応に、免疫グロブリンの減少などの免疫異常が加わって、
HHV-6 の再活性化が誘導されると考えられる。HHV-6 の再活性化は、発
症後2~4 週間の間に生じ、発熱、肝機能障害、中枢神経障害などを引
き起こす。
(7)医薬品ごとの特徴
アロプリノールが原因の場合には、腎機能障害の程度が強いことが多い。ジアフェニルスルホンが原因の場合には、黄疸を認めることが多い。
(8)副作用発現頻度
正確な統計はないが、上記の原因医薬品使用者の0.01~0.1%に発症すると推測されている。
(9)自然発症の頻度
自然発症の頻度は明らかではない。