・薬剤性過敏症症候群
英語名:Drug-induced hypersensitivity syndrome: DIHS
同義語:過敏症症候群(Hypersensitivity syndrome)
A.患者の皆様へ
ここでご紹介している副作用は、まれなもので、必ず起こるというものではありません。
ただ、副作用は気づかずに放置していると重くなり健康に影響を及ぼすことがあるので、早めに「気づいて」対処することが大切です。
そこで、より安全な治療を行う上でも、本マニュアルを参考に、患者さんご自身、またはご家族に副作用の黄色信号として「副作用の初期症状」があることを知っていただき、気づいたら医師あるいは薬剤師に連絡してください。
重篤な皮ふ症状などをともなう「薬剤性過敏症症候群」は、抗てんかん薬、痛風治療薬、サルファ剤などでみられ、また総合感冒薬(かぜ薬)のような市販の医薬品でもみられることがあるので、何らかのお薬を飲んでいて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。
「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「高熱(38℃以上)」、「のどの痛み」、「全身がだるい」、「食欲が出ない」、「リンパ節がはれる」などがみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりする
1.薬剤性過敏症症候群とは?
薬剤性過敏症症候群は、重症の薬疹であり、高熱(38℃以上)をともなって、全身に赤い斑点がみられ、さらに全身のリンパ節(首、わきの下、股の付け根など)がはれたり、肝機能障害など、血液検査値の異常がみられたりします。
通常の薬疹とは異なり、原因医薬品の投与後すぐには発症せずに2 週間以上経ってから発症することが多く、また原因医薬品を中止した後も何週間も続き、軽快するまで1 ヶ月以上の経過を要することがしばしば認められます。
薬剤性過敏症症候群の発生頻度は、原因医薬品を使用している1000 人~1 万人に1 人と推定されていますが、原因と考えられる医薬品は比較的限られており、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド(抗てんかん薬)、アロプリノール(痛風治療薬)、サラゾスルファピリジン(サルファ剤)、ジアフェニルスルホン(抗ハンセン病薬・皮膚疾患治療薬)、メキシレチン(不整脈治療薬)、ミノサイクリン(抗生物質)などがあります。
発症メカニズムについては、医薬品などにより生じた免疫・アレルギー反応をきっかけとして、薬疹と感染症が複合して発症することが特徴と考えられています。
2.早期発見と早期対応のポイント
「皮ふの広い範囲が赤くなる」、「高熱(38℃以上)」、「のどの痛み」、「全身がだるい」、「食欲が出ない」、「リンパ節が腫れる」がみられ、その症状が持続したり、急激に悪くなったりするような場合で、医薬品を服用している場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。
受診時、薬剤性過敏症症候群が疑われる場合は、血液などの検査を行い、基本的には入院が必要になります。
原因と考えられる医薬品の服用後2 週間~6 週間以内に発症することが多く、また、服用を中止した後も何週間も症状が続き、軽快するまで1 ヶ月以上を要することがしばしば認められます。
なお、医師・薬剤師に連絡する際には、服用した医薬品の種類、服用からどのくらいたっているのかなどを、担当医師に伝えてください。
※ 医薬品の販売名、添付文書の内容等を知りたい時は、このホームページにリンクしている独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページの、「添付文書情報」から検索することができます。
http://www.info.pmda.go.jp/