・医療機関の対応 [編集]
現在、CFSの診察を積極的に行っている医師はごく少数である。
また、医師の間でCFSの認識は薄く、専門医でなければこの病気の可能性を見いだせなかったり、的確に診断できない場合がある。
精神疾患等に誤診される場合があり、患者は多くの病院を訪れ(ドクターショッピング)、長年の後CFSの診断を受けることが多い。
それでもここ数年は、政府の疲労プロジェクト・日本国外の研究報告によってCFSの研究が進んだこと、各メディアが取り上げるようになったことなどによって、認識が広まってきている。
また、アメリカ政府が公的にCFSを認めたこともあり、今後の認知は深まると考えられる。
研究者としては倉恒弘彦(現在 関西福祉科学大学教授・大阪市立大学 客員教授)など。
経過 [編集]
発症 [編集]
突然にインフルエンザのような症状を呈し発症するか、疲労やストレス等の蓄積で発症し徐々に悪化するケースも多くある。
突然の発症 [編集]
突然にCFSを発症し、ある日・ある時間に発症するということを覚えている患者もいる。
しばしば、他の病気と一緒に、または、他の病気によって引き起こされる。インフルエンザや気管支炎などへの感染、アレルゲン(ペンキ・新しいペット・建設物の埃)への曝露後、CFSの症状が現れるようになる。組み替え型のB型肝炎ワクチンがCFSの発症原因の一つではないかという説もある。
徐々な発症 [編集]
いくつかのケースでは、ゆっくりとしたペースで(何年にも渡るケースがある)進行する。
こうした患者は、発症時にはCFSに気が付きにくい。
ストレスや過労からだと思い、しばらくすれば治ると思ってしまうが、長く症状が続くので治療を求めるようになるようである。
予後 [編集]
一般的に、予後は良くない。
発症が突然である場合、数年である程度症状が改善することもある。
完治は希であり、数十年もの期間症状が続くケースも多く、寝たきりの状態が続いている患者も多い。
早期治療を受けたケースでは予後が良いが、治療を受けずに自然治癒することはあまりない[8]。
激しい運動・ストレス・他の病気などにより症状は悪化しやすい。
免疫が落ちていることが多いため感染症に罹患しやすく、エイズ患者にしかならないような病気も合併する例があり注意が必要である。
また、CFS患者は、平均寿命が短いという報告がなされている。癌・心不全・自殺などが主な理由だとされる。
2006年6月13日、32才イギリス人女性が死亡し、厳格な検死鑑定が行われ、CFSにより尿を産生することができず脱水症状を起こし死亡したとされ、初の公的なCFSによる死とされた[9]。
彼女の脊髄には炎症が発見された。
歴史 [編集]
CFSは比較的新しい疾病概念であるが、古代医学の巨人ガレン(西暦130~201年)の著書の中にもCFSの病態のように思われる記述が残っている。18世紀にも裕福層に多く同様の病態の患者がいた記録が残っており、著名人の中でも、フローレンス・ナイチンゲール、チャールズ・ダーウィン等も同様の病状のようであったようだという記録が残っている。
1930年代から1950年代にかけて、世界各国60ヶ所以上で発症例が報告された。
主な国はアメリカ・イギリス・オーストラリア・アイスランド・ドイツである。当時はCFSという概念がなく、発症した病院名や地域の名をとり、ロイヤルフリー病・アイスランド病などと呼ばれ、異形ポリオ・集団ヒステリーなどではないかと推察されていた。
1930年代後半に、筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyelitis)という名で免疫・神経学的な研究がなされ、WHOによりCFSは、中枢神経系の病気であると、1969年に分類されている。
そして、1992、1993年には、"ME(筋痛性脳脊髄炎)"と"CFS(慢性疲労症候群)" 両疾病概念は、WHOの国際疾病分類 ICD-10 G93.3 PVFS(感染症後疲労症候群)にまとめられた。
1984年には、アメリカ・ネバダ州にある人口約2万人のインクラインで、人口の約1%にあたる約200名が強い疲労などを訴えた(ネバダ・ミステリー)。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が調査に乗り出し、病名を慢性疲労症候群 (Chronic Fatigue Syndrome) とした。
1988年には診断基準も作成された。
当初、未知のウイルスの関連が考えられていたが、現在は否定されている。
ただ、一部の症例ではウイルスや他の病原体が原因となっている可能性があると報告されている。
現在、CFSの発症には様々な仮説が提案されており、原因解明の研究を行っている段階である。
患者には脳(前頭葉、後頭葉領域)の血流低下が多く見られることがわかってきており、脳の機能障害が激しい疲労感と同様にCFSに共通した症状とされ、免疫系、内分泌系、神経系の異常が密接に関係してると考えられている。
日本ではあまり関心を持たれてはいなかったが、1991年に、厚生省のCFS調査研究班が発足。
1993年には、日本における診断基準を満たす患者が、474例報告された。以後、阪大を中心に、CFSの研究・診察が行われた。
2005年には、大阪市立大学医学部に疲労クリニカルセンターが設立された。
一般的な疲労を含み、CFSの研究・診察を行っている。
諸外国でも研究が進められ、生理学的な異常が多く報告されるようになっている。
2001年には、イギリスの保健省首席医務官が、すべての医師はCFSを深刻な病気とみなし治療するように指導した[10]。
アメリカ・ヨーロッパ諸国・韓国等でも同様の動きがある。
だが、医師の間ではCFSが身体的疾患か精神疾患か、またそもそもCFSという疾患が存在するのかといった議論が絶えない。
しかし、徐々にではあるが世界の医療従事者の中でも認知が深まりつつある。
2006年には、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が、C3(CFS Computational Challenge)[11][12]と題された、ゲノム学者・分子生物学者・数学者・エンジニア等で行った大々的な研究結果を報告し、CFSが存在すること、精神疾患であることを否定し身体的な病気であると宣言をした[13]。
これに合わせアメリカ国内で、Get informed. Get diagnosed. Get help. [14][15]と題された認知キャンペーンを400万ドルをかけて開始し、アメリカ疾病予防管理センター長も、CFSを深刻な病として扱うことを訴えた[16][17]。
病名の変更もアメリカで議論され、変更される予定である。
2007年度、イギリス政府が再び、医師に真剣に治療するように指導し、新しい治療ガイドライン[18]を発布した。
日本においては、厚生労働省CFS研究班が廃止され未だ政府によりCFSを医療従事者に診察・治療を行う指導は行っていない。
社会的問題 [編集]
1900年代前半には内科的な病気である可能性が高いと思われていた。だが、当時の診断技術では患者特有の異常が見つからず、精神疾患だと医療従事者の中でも思われるようになった。
CFS患者は、心の中の問題だけにされてしまう傾向がある。
本来なら神経内科医が診る疾病であるが、仮病や心気症的な振る舞い(注意をひいている)・時には詐病とまでされ精神科にまわされることが多く、診察を拒否する医師さえいるので、患者は診断を受けるために長期の時間苦しむことになり、病気を難治化・長期化してしまっている。
また、多くの患者は働くこともできず、障害年金も受給されないことが多く、経済的に困窮することになる。
周囲の人々から理解を得られにくく、怠けている・精神的[19]に問題があるなどとされる傾向がある。
CFS患者の自殺率は非常に高いという報告がある[20]が、こうした周辺環境が関与している可能性がある。
CFSは日本全体においても大きな経済負担になっており、CFSによる日本の経済的損失は1.2兆円[21]と推定されている。
runより:長い記事お疲れ様でした((。´・ω・)。´_ _))ペコ
化学物質過敏症、電磁波過敏症、慢性疲労症候群、線維筋痛症はある程度化学物質過敏症と同じ道を辿っているのではないか?と考えています。
調べていく事で色々仮説が出てくると思います。