・慢性疲労症候群
概説 特定の心理的および身体的原因もなく、神経、筋肉の障害もないにもかかわらず、長期間続く著しい倦怠感(けんたいかん)や疲労感を主訴(しゅそ)とする症候群です。
しかし、この病気の定義は非常にあいまいで、それぞれの専門家により異なるために、有病率などの統計についても比較的ばらつきが多いのが現状です。
診断は厚生省(現在の厚生労働省)の診断基準(表:慢性疲労症候群診断基準)に基づいて行います。
女性に多い傾向があり、20歳代から40歳代の発症が多いのが特徴です。病気の原因については多くの説がありますが、ウイルス感染、アレルギー、免疫学的異常、心理学的要因などが複雑に絡み合っているようです。
--------------------------------------------------------------------------------
症状 その名の通り、長期間持続する高度な疲労感が主訴です。
この疲労感は休息によっても改善しないのが本疾患の特徴です。
また、多くの症例でリンパ節の腫大(しゅだい)を認めます。
その他、微熱やのどの痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、睡眠障害、記憶障害、集中力低下などを伴うことが多いようです。
こういった症状が比較的急性に現れ、それが持続することになります。
--------------------------------------------------------------------------------
診断 定義があいまいなので、診断は非常に困難です。
典型的な症状に加えて、他の考えられる病気を除外することを優先して最終診断に導いていく除外診断という方法をとります。
血液の白血球数や、血沈、甲状腺機能、リウマチ因子、各種肝炎ウイルス抗体、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)抗体などに特別の異常がなく、肺のレントゲンでも結核などを否定することが一般的には行われています。
また、典型的なうつ病や不安神経症の患者さんは、この診断から除外するようにと各種診断基準で提唱されています。
主訴(しゅそ)
患者が最も強く訴える症状。医師を訪れるきっかけであることが一般的。
除外診断(じょがいしんだん)
診断のつけにくい病気について、他の病気でないことを診断(除外)することで、最終的にその病気であることを診断すること。