▼第4回ストックホルム(POPs)条約会議(COP4)で3種類の難燃剤が廃止
ヘキサBB、ペンタBDE及びオクタBDE(2009年5月)
POPs条約の下ではPOPsを含む廃棄物は、リサイクル、又は直接的なリユースをすることはできないのですが、ペンタBDEとオクタBDEは、2030年までリサイクルすること許すという免除がつくことになり、世界のNGOsこのことに反対しています。
▼POPs検討委員会第7回会合(POPRC7)で臭素系難燃剤HBCD(ヘキサブロモシクロドデカン)が条約の対象物質として勧告されることに決定(2011年11月)
▼米・難燃剤製造3社 デカBDEの製造と販売の廃止に合意(2009年12月)
難燃剤製造/販売大手3社は、米環境保護庁(EPA)との協議を経て、過去3年間で最も使用されていた臭素系難燃剤デカBDEの製造と販売を2013年までに、"エッセンシャル・ユース"を含めて、全ての用途のための販売をやめることに合意しました。
6. テレビ筺体へのロウソク耐燃要求
電子機器の安全性に関する国際基準を審議する場として、国際電気標準会議・技術委員会108((IEC TC108)があり、TC108に対応する国内委員会として第108委員会があります。
現在、ロウソクの裸火によるテレビ火災防止を強化するとして、垂直方向ロウソク裸火テストで3分間の耐性を求めるという提案がなされ、TC108でその採否についての投票が行なわれようとしています。
このような要求は不必要に有害な難燃剤を大量にテレビの筺体に加えることになるだけで、ロウソク点火によるテレビ火災の防止にはなんら役立たないとして、アメリカのグリーン科学政策研究所や環境健康センターが中心となり、世界の科学者やNGOがこの提案に強く反対しています。
反対の論点は次のようなものです。
ロウソク点火によるテレビ火災の危険を示す客観的なデータはない。
電子機器産業は大量の難燃化学物質を使用する必要があり、消費者を潜在的に深刻な健康リスクに曝すことになる。
この基準は、電子機器のリサイクルと回収システムを難しく高価なものとし、ある場合には不可能にする。
これらの化学物質で処理されたテレビが火災で燃焼すれば、危険なダイオキシンやフランを発生させる恐れがあり、それは特に消防隊員及び環境全体に大きな影響を及ぼす。
さらに現在のテレビは薄型になり、裸火のロウソクをテレビに置くということは現実離れしている。
当研究会もグリーン科学政策研究所や環境健康センターと連携して、日本がこの提案に反対投票をするよう要請する手紙を2012年4月13日付けで経済産業省産業技術環境局大臣官房審議官(基準認証担当)河村 延樹 殿宛に送付しました。
さらに、日本が賛成/反対どちらに投票する(した)のか、またIEC TC108の投票結果はいつ発表されるのか問い合わせましたが、回答はありませんでした。
7. 日本の状況
▼難燃剤の分類と需要の割合
日本難燃剤協会の2006年主要難燃剤の推定需要では、4分類の割合が示されていますが、具体的な化合物の需要量は示されていません。()内は2003年のデータ。
臭素系36%(34%)、リン系21%(19%)、無機系41%(44%)、塩素系2%(3%)
▼表示:電気・電子機器の例
電気・電子機器ではその筺体やプリント基板などのプラスチックに難燃剤が使用されていますが、リサイクルにおける解体・分別の際に適切な判断・処理が行えるようJIS K 6899プラスチック部品の材質表示で、難燃剤などの材質のコードを表示することになっています。
これはあくまでも、事業者によるリサイクル等の作業を考慮したものであり、一般消費者のためのものではありません。
従って、一般消費者はどのような難燃剤が使用されているのか知ることはできず、前述のサンアントニオ宣言 第13項."消費者は、例えば製品ラベルを通じて、これらの物質の存在を知らされるなら、有害難燃剤の代替物質の採用にある役割を果たすことができる"ということに寄与できないことになります。
(文責:安間 武)
(注)本稿の更なる情報については当研究会のウェブページをご覧ください。
runより:可塑剤と並ぶ家電の極悪化学物質こと難燃剤、必要か?と私も思います。