・人間での研究
1960 年代後期と 1970 年代初期に、日本と台湾で PCB 汚染ライスオイルに人間が事故で被ばくする 2 つの出来事があり、被ばくした母親から生まれた子供に悲劇的な発達影響を及ぼした。93
発達中の胎児は母親よりずっと敏感で、低出生体重や色素沈着過剰な皮膚・腫れあがった歯茎と瞼・歯が早く芽生えるなどの多数の異常が見られた。神経学的影響は最も重大な発見であり、最も高度な被ばくを受けた一部で精神遅滞があった。
子供の脳の発達の遅れとと行動異常は事故後長年続いた。
被ばくした子供は IQ 試験で低下があり、教師によると被ばくしない子供より多動であり、多くの行動障害を示した。94
これらの悲劇的な事故は明らかに有毒な量の PCB に子供を被ばくさせたが、別の研究は周囲の環境中で見られる PCB レベルに被ばくした神経発達影響を調べている。ミシガン州で 212 人の子供グループが長年追跡されている。
母親がミシガン湖の魚を少なくとも月に6-8 オンス(注:約170-220g)食べている場合、魚を食べる母親の子と分類した。しかし、研究した家族の一部は魚を食べなかった。
全てではないがほとんどの場合、胎児と授乳期のPCB 被ばくは妊娠前と妊娠中の母親のミシガン湖産魚消費と関連していた。
出生前に最も高い PCB 被ばくを受けた子供は、精神運動発達の遅れあるいは低下と視覚認識記憶試験の低下を示した。95
これらの子供は現在 年 11以上追跡されている。出生前の PCB 被ばくは社会経済状態を含むほかの因子を制御した後、IQ 点数低下と関連を持ち続けている。
低被ばくグループと比較して、最も高い被ばくを受けた子供は、IQ 試験と注意集中期間を計る試験で成績が 3 倍以上悪かった。
読書で語彙理解力が少なくとも 2 年遅れていると思われているものもも 2 倍であった。
研究者によると、PCB の神経発達毒性の最も頻度の高い発現は、神経運動活性と注意集中(注意を集中し持続させる)の障害と高次認識と学習の障害、神経発達の遅れであった。
これらの障害は学校時代を通じて残っていると思われる。
ノースカロライナ州の別の子供グループは同じ結果を示している。
母親の血液 PCB レベルで測った高い胎児期 PCB 被ばくは、低被ばくの子供より生後12か月で精神運動発達試験(ブレーゼルトン)の低い点数と関連していた。97
オンタリオ湖の PCB 汚染魚を食べた母親の新生児数百人を調べたニューヨークの研究で、高い被ばくを受けた子供は被ばくの少ない子供と比較した場合、異常な反射と驚愕応答、および、視覚認識の低下を示した。98
最近、出生前 PCB 被ばくが、生後 12 か月齢で幼児知能のためのファーガン試験成績低下と、生後 3 年で子供の能力のためのマカーティ尺度で悪い成績に関連することを研究者が報告している99。
妊娠の最終月の母親の血中、臍帯血中、母乳注の PCB・ダイオキシンレベルを測定した後に、数年間オランダで別の 418 人のグループの発達が前向きに[注:さかのぼることの逆]調べられている。
これらの被ばくは全て周囲の環境レベルであり、大量の事故による被ばくや過剰な魚消費の結果ではない。認識能力は、子供のためのカウフマン評価バッテリーを用いて生後42 か月で子供395人を評価した。 100
変数を調節した後、母体血中 PCBレベルはこのバッテリーの全般的認識と経時および同時処理尺度の成績低下と有意に関連していた。
授乳による PCB とダイオキシン被ばくと現在の被ばくは生後42 か月での認識成績に関連せず、悪影響は胎児 PCB 被ばくの結果であることを示した。
また、高レベルの遊びをする時間が少ないことにも有意に関連することを示している。
生後42 か月の子供で血中 PCB レベルは、反応時間が遅いことと親が報告した多動性の兆候が多いことと関連している。
また、この研究は最も高い PCB・ダイオキシン胎児被ばくと、子供で 2 週間と 3 か月の甲状腺ホルモンレベルの小さいが有意な低下を報告している。101
バックグランドレベルのPCB への出生前被ばくは、乳児とよちよち歩きの子供で医学検査により評価した反射や記憶・神経機能に影響を及ぼすことが示されている。
注意や記憶・知能・読解力に対する悪影響は 11 才まで追跡した子供で証明されている。1-22