1. 新しい情報の多くは非常に専門的で、情報が発信された分野内の専門家のみが理解している。
2. 研究者と臨床家はほとんど接触しないことが多い。
結果として、研究議題は臨床家や親の関心を適切に反映しないだろう。
3. 研究は技術的方法論的関心によって抑制されることが多い。
4. 資金源は富をもたらすことが少ない臨床的関心よりも、顕著な技術応用による研究を優先的に好むだろう。
5. 多忙な臨床家は、はっきりとした臨床的応用を欠く新しいアカデミックなトピックへの関心が制限される。
学際的アプローチをすることにより、この報告は研究と臨床・一般人の理解の間のギャップを狭めようと試みる。
また、子供の発達に関する学際的議論は、異なった展望を統合するために必要とされる橋渡しをする生物行動学的の枠組みの進歩を支える。
発達神経毒物学の研究は、危険に曝されている子供を守るのに役立つ単純な予防方策に容易に翻訳できるので、発達神経毒物学の最近の発見に焦点を当てる。
臨床的応用を持つことに加えて、発達神経毒物学の研究の発見は学問的にもかなり興味がある。
この研究は他の分野、特に神経科学と行動遺伝学の研究とぴったり合うために、発達一般の生物学的基礎の理解を進める。
また、より広い対話を進め、親や臨床家により受け入れられる幾つかの「生物学」分野からの究の発見をしたいと望んでいる。
特性:異なった分野間の橋(神経毒物学と遺伝学、臨床的障害)子供の発達は、他の行動科学のように学習や行動・発達を記述するためにカテゴリーを使うことが多い3。
カテゴリーは、ADHD や自閉症・その他の特殊な障害のような病気の実態に焦点を当てる。
カテゴリーは、2 つの可能性のみを必要とすることを意味する二分法を本来使う。
子供は特殊な障害を持っているかいないかのどちらかである。
代わりに、行動は能力あるいは特性の概念を用いて記述でき、それは連続した次第に移行するものとして変化する4,5。
短期記憶や衝動性・注意集中能力は、学習や行動・発達に適切な特性の例である。
これらの特性のよりよい理解が、臨床障害の理解に重要であるという合意が育っている6。
特性・能力の欠陥は臨床症候群に対応すると見えるが、関連は明快には確立していない7。
例えば、特性の注意集中欠陥は臨床症状ADHD に対応するように見えるが、この関係は直線的ではない。
例えば、ADHD の少年の持続的注意集中の尺度では成績が悪いが、選択的に注意をする能力に障害はないことを研究が示している。8,9
ほかの研究は、ADHDでの注意欠陥は状況に依存し、試験時に室内に大人がいないと注意集中測定が改善することを別の研究が示している。10 特性と臨床症状との関連は調べられているが、同時に進む研究は特性をよりよく定義し理解しようとしている。11
特性は様々な分野の研究者の対象であるので学際的対話の基礎を提供する。発達と学習において特に重要性な 3 つの特性である注意と記憶・実行機能に関して、「米国立子供の健康と人間発達研究所」の最近の会議の焦点の中で説明された。
特性に焦点を当てることは、心理学や神経学・小児科・特殊教育などの様々な分野からの研究者と臨床家が方法や概念・発見に関する情報交換を可能とした。
また、遺伝研究の大きな部分は認識と行動の特性に焦点を合わせたが、行動遺伝学も共通点として特性を使って大きな議論の中に統合できた。