・公衆衛生的影響
行動障害と学習障害・発達遅延は、次の統計で証明するように、米国では重大な公衆衛生的な影響がある。
• 学校年齢集団の 5-10%は、学習障害であると推定されている12。
公立校の特殊学級で全生徒の 52%に学習障害がある。これは約225 万人の子供に等しい。
• 学習障害のある成人の約 40%は、雇用や社会的調整が相当困難である。
• ADHD のある人は学校教育が短く、同僚より職業成績が悪い5。
学習障害のある生徒の 62%は、高等学校卒業後 1 年間で雇用されていない6。
• 学習障害とされた生徒の 35%は高校を中途退学した。
これは障害のないものの 2倍の割合である7。
• 学習障害のある女性の 50%は高校卒業後3-5 年以内に母親(その多くはシングル)になる。
• 薬物乱用の治療を受けた青年の 60%までは、気づかれていなかった学習障害であった9。
• 学習障害と薬物乱用は、生活保護者の雇用の最も一般的な障害になっている10。
読書障害は学校に留まらない結果を生むだろう17。
読書の困難を経験している熱心な三年生は、順に学校をドロップアウトし挫折した 9 年生になり、4 年や 6 年生レベルでかろうじて読む 25 才になり、失業中の 30 才代となり、現在家族に養われ公的支援が必要な挫折した大人になる。
• 学習障害のある青年の 31%は、高校卒業後 3-5 年で逮捕された。
11 逮捕割合の高い唯一の青年は情緒障害のあるものであった(57.6%)。
• 学習障害のある青年は、少年裁判に不相応に多く関係する。
調べた少年非行者の50%には見つからなかった学習障害があった。
少年収監の費用は、1 人あたり年間 35,000 ドルから 60,000 ドルである。13
• 学習障害のある人は、有効に意志を伝えることができず、自分の立場を理解できないため、少年審判で有罪が認められ、警察に留置され、重い罰を受けると思われる14,15。
• 矯正施設にいる成人の 42%は特殊教育が望ましい16。
これらの障害の治療と研究に、毎年多額の資金と資源が費やされている。子供や一般人に最も役立つ適切な治療と予防プログラムの実行と計画・適切な資金提供で、親や教師・政策決定者・研究者・政府に対する統合された努力が必要である。
*学習障害は 1968 年に連邦が指定したハンディキャップとして認められた。
公法 94-142、1975 年全ハンディキャップ児童教育法*は数回再認可され修正され、1990 年障害者教育法**(IDEA)(PL-476)及び 1990 年米国障害者法***(ADA)(PL-101-336)として再発効した。18
* Education for all Handicapped Children Act
** Individuals with Disabilities Education Act
*** Americans with Disabilities Act
1962年に学習障害を定義する最初の努以来、学習障害に関して診断や介入・教育方針にまつわる論争がある。
論争の一部は教育者が用いる定義が精神衛生(心理学)専門家及び神経学研究にたずさわる人が使う定義と常には同じでないという事実のためだろう。
学習障害の定義を確立するのは、特殊教育が望ましい人数及びこれらのサービスが何であるかといった政府の研究・方針・資金提供が、適切な基準に個人が合致することに基づいているので重要である。
例えば、ある人が一つの州から別の州に引っ越す時に、学習障害の条件や診断が変わるのは異常でなことではない。学習障害の定義は付録の中でさらに詳しく述べる。