・塩化アルミニウムを誤って次亜塩素酸ナトリウムのタンクに注入してしまい塩素ガスが発生
本災害は、運送業A社が製紙業B社の和紙工場に廃液処理の際に用いる塩化アルミニウムを納入した際、誤って次亜塩素酸ナトリウムの入っているタンクに注入してしまったため、化学反応により塩素ガスが発生し、9名の中毒者を出したものである。
塩化アルミニウムを積載したA社のタンクローリーは、午前6時50分頃B社に到着し、タンクローリーの運転手Cは工場正門の守衛Dにタンクとタンク送給口の案内を受けた。
このとき、Dは塩化アルミニウム用のタンクではなく、間違って次亜塩素酸ナトリウム用のタンクへ案内した。
Cは、午前7時30分頃次亜塩素酸ナトリウムの入ったタンクに塩化アルミニウムを注入した後しばらく運転席にいたが、約10分後に刺激臭に気付き、タンクへの注入を止めた。この時タンク上部の通気孔等から、化学反応によって生じた塩素ガスが出ていた。
この塩素ガスにより作業者9名が目の炎症やのどの痛みを訴えた。
この後、B社は次亜塩素酸ナトリウムを中和するために水酸化ナトリウム水溶液を投入し、塩素ガス発生を抑えた。
[1] 守衛がタンクを案内するという体制になっており、案内する際に塩化アルミニウムと次亜塩素酸ナトリウムのタンクを間違えて教えたこと。
[2] 次亜塩素酸ナトリウムのタンクおよびタンク送給口にタンク内容物に関する表示がなされていなかったこと。
[3] 守衛が次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化アルミニウムについて知識を持っていなかったこと。
[1] 安全衛生管理体制の整備を行い、守衛が納入者を案内するだけではなく、設備に関する責任者を置き、化学物質の運搬を確認すること。
[2] 貯蔵タンク、タンク送給口および配管設備等については内容物名称、取扱い要領等の表示を行うこと。
[3] 化学物質の取扱い要領を作成するとともに、これに基づいて関係作業者に対する安全衛生教育を実施し、化学物質の取扱い上の注意事項等を周知すること。
runより:9名も被害者が出た例ですが次亜塩素酸ナトリウムは消毒によく使われるので結構身近な事だと思ったほうがいいです。