・洋菓子店における酸欠事故
災害発生当日、若手作業者Aは、7時過ぎに出勤するとともにガスオーブンに点火した。ミーティング終了後、若手作業者Bとともにケーキの生地の材料をミキサーにかけ、混合していた。
7時半過ぎ、Bが気分が悪いとしゃがみこんだ。
7時40分ごろ、遅れて出勤してきた主任が異変に気付き、救急車を手配するとともに、換気を行い、A、Bを外に連れ出した。主任は、以前、親会社のパン工場に勤務しており、そこで酸欠についての教育を受けていた。
災害の要因は、オーブンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒も考えられるが、ケーキ焼成室における一酸化炭素濃度は測定していない。
また、病院においても体内の一酸化炭素濃度は測定していないが、主任が異変に気付いた際、オーブンは燃焼しており、酸素欠乏症の可能性が高いと考えられる。
A、Bの2名は、病院において3日間安静にしたのち、退院したが後遺症はない。
[1] 換気を行わずに、オーブンに点火したこと。
[2] 換気装置が稼働していなかったこと。
[3] ケーキの焼成室には、独自に換気装置を備えているが、当日は故障により、稼働できなかったこと。
[1] 換気を確認してから、点火するように、作業手順を明確にし、かつ順守すること。
[2] 酸欠や一酸化炭素中毒の恐ろしさを含め、安全衛生教育を徹底すること。
[3] 換気装置が稼働していないときにはオーブンに点火できないように、または付近の酸素濃度が低下してきたら、自動的に弁が閉じるように、オーブンを「安全確認型」にすることなど設備面での改善を図ること。