電磁波の影響について:Drレント2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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runより:この話は元々MRIなどの話の為それを念頭に置いてください。

結論は?


:寝室の磁界レベルが0.4μT以上で小児白血病のリスクが2.6倍に増加し (95% CI=0.76-8.6)、白血病の種類をALLのみに限るとリスクが 4.7倍に増加した (1.15-19.0)というものじゃな。

?データはどうだったの?
これがデータじゃ。

:白血病全体 症例群 対照群
総数 312 603
0.4μT以上 6 5
急性リンパ性白血病 症例群 対照群
総数 251 495
0.4μT以上 6 3


?症例は312例中6例が0.4μT以上か。
対照が603例中5例が0.4μT以上だから、
0.4μT以上だと白血病のリスクが2倍程度ということだね。
症例群でもしも、磁界の評価が間違っていて、0.4μT以上と評価されたけど、
本当は0.4μT以上ではない症例が一つあったらどうなるのかな。


:放射線計測でお馴染みのポアソン分布を使って計算するとよいじゃろ。
対照群だと603例中0.4μT以上が5例じゃから、ある家屋が0.4μT以上である確率は5/603=0.83%じゃ。
磁界の強さが病気と全く関係ないと仮定して(帰無仮説)、
312症例中0.4μT以上の家屋が5例以上ある確率を余事象を使って計算してみよう。


?確率の計算は直感と異なることがあるから注意が必要だね。
クラスに同じ誕生日のペアがいる確率の計算を思い出すなあ。


:余事象として312症例中0.4μT以上の家屋が4例しかない場合の確率を、
地道に順々に考えることにすると、
まず、すべての家屋が0.4μT未満の確率は、
(1-0.83%)312=7.5%じゃ。

一つの症例だけ0.4μT以上になる確率は、
311症例が0.4μT未満で、かつ、どれか1症例だけ(311パターン)が0.4μT以上だから、
{(1-0.83%)311}×0.83%×311=19.4%
だな。


?2つの症例だけが0.4μT以上になる確率は、
310症例が0.4μT未満で、かつ、312症例のうちどれか2症例だけ(312C2パターン)が0.4μT以上だから、
{(1-0.83%)310}×0.83%2×312C2=25.2%
となる。


:同様に、3つの症例だけが0.4μT以上になる確率は、
309症例が0.4μT未満で、かつ、312症例のうちどれか3症例だけ(312C3パターン)が0.4μT以上だから、
{(1-0.83%)309}×0.83%3×312C3=21.8%
ですね。

?2症例だけが0.4μT以上になる確率が一番高そうだな。


:期待値は312×0.83%じゃ。
最後に4つの症例だけが0.4μT以上になる確率は14.1%になる。
0.4μT以上の症例が0-4であるのは、
これを全部足せばよいから88%じゃ。


?ということは求める確率は100%-88%で12%か。
全く関係なくても、10回調査すると1回は偶然変動による偏りが観測されそうだね。


:帰無仮説(=磁界の強さが病気と全く関係ない)は否定できないということじゃ。


?こうすると検定結果の頑健性が調べられそうですね。


:これだけだとパワーが足りないから、さらに精度のよいデータが集積されると確実性が増すじゃろ。


?症例対照研究だとバイアスが入りやすいと聞いたけど、それは大丈夫かなあ。


・研究への協力が必ずしもきちんと得られず何らかのセレクションバイアスがかかっていることは否定できないじゃろ。

?症例で非参加者の曝露が小さいとしても、リスクが残ると主張されているようだけど。


:一般に誤分類はリスクを小さく見積もる方に働くが、誤って高い曝露群に分類するようなことがあると、このサイズでは影響が大きい。


?交絡因子は大丈夫かなあ。
電磁界曝露だけの影響を取り出して調べているのかな。



: 症例群 対照群
父親の教育歴 18 (7.3%) 24 (4.9%)
母親の教育歴 18 (7.2%) 21 (4.2%)
妊娠中の母親の喫煙歴 133 (13.2%) 42 (8.5%)

と違いがあるが、これらは考慮して解析されておる。


?なかなか微妙な影響だとパワーを確保した調査がそもそも難しいと思うけど、
パワーが十分でない調査デザインには意味がないのかな?


:どのような調査にコストをかけるかは総合的に考える必要があるが、
単にパワーが足りないのであれば、後々、プール解析に耐えるデータを提供するだけでも立派な価値がある。
疫学調査はリスク評価の有力なツールじゃが、バイアスの影響をできるだけ小さくしないと誤った結果をもたらしてしまう。
読者の皆さんも、納得できる疫学調査には前向きに協力されてくだされ。


?個人差はどう考えるとよいですか?


:磁気閃光などは個人差が大きいようじゃ。
7Tに耐えられるかどうか興味のある方はトライされてもよいかもしれない。


?よい画像を得るか、未知のリスクを考慮して画質の向上を断念するか、難しいところだね。

:さて、電磁波過敏症じゃが、今のところヒトでは確認されておらん。

このため臨床医に対しても、その存在を前提とした対応をすべきでないとWHOのファクトシートにも記載されておる。


?二重盲検テストをしたら、本当に電磁波を感じる力があるかどうかわかるんじゃないの。


:科学的にはそうじゃが、それで本人が納得できるかどうかは別のお話になりそうじゃ。
精神保健分野の専門家の力を借りるのがよいのではないかな。