3、金沢大学の蜂群テスト(山田2010)
金沢大学の山田敏郎は農薬(ダントツ、スタークル)の添加をやめても蜂数の減少が継続することを実験で確かめた。
4 、兵庫県立大学の経口投与テスト(北尾2011修論データ)
北尾は蜂に背番号をつけ、クロチアニジン、ジノテフラン、アセタミプリド、有機リンのアセフェート、マラソンの農薬を直接経口投与して、その後の行動、死亡時間を記録した。
その結果、ダントツは影響を受ける個体が多く、スタークルライトは少なく、モスピランはほとんどないことがわかった。
有機リンはあまり影響がない。
ダントツとスタークルライトは2、3分で影響が出るが、モスピランは他の個体には遅いか、影響がない。
これらの結果から、ネオニコ系は概して蜂殺虫効果が強いことはわかった。
5、ミツバチの全行動の研究(1970~1985)
この研究は大谷先生が大学院時代に行ったもので、蜂の全行動を詳細に記録した。
その方法は1個体に背番号を貼り付け(個体識別)て追跡し、そのすべての行動を記録する「1個体追跡法」である。
その結果、齢差分業といって日齢によって仕事の役割が次第に変化することがわかった。{羽化→部屋の掃除←→幼虫に餌を与える←→幼虫の部屋のフタをする←→新しい部屋を作る(10日目ごろ)←→花粉をつきかためる←→ミツをうけとる←→巣の修理をする←→門番をする→(20日目ごろ)→採集活動(外勤蜂が花粉・花蜜・やに・水を集める)}
集団生活をすると、個体差が表面化する。育児圏は中心部、貯蔵圏は周辺部、中心部に若い蜂が集まり、古参蜂は周辺部に押しやられる。働き蜂は中心部で羽化し、日齢とともに周辺部に押されてくる(羽化バチ圧)。
これらの諸現象から、従来言われてきた齢差分業は表面的な把握にすぎず、実態は、監督者も調整者もなくて大量の個体が行き当たりばったりで仕事をしていく「ブラブラ分業」であることがわかった。
6、行動研究から探る農薬影響の回避
この課題については時間の関係で省略された。
質問に対する回答という形で、最後のスライドに示された有機リン系農薬による被害とネオニコチノイド系農薬による被害の差について説明された。
有機リン系農薬は特有の臭い(溶剤の臭いか?)のために学習で忌避しているのではないか。また、小規模で地域が限定されていることで蜂の大量死が起きないのではないかと推定された。
それに対してネオニコチノイド系農薬は無臭のために学習できず、異常行動をするようになり、帰巣できず、CCD(Colony Collapse Disorder)が起きる。
また、免疫力が低下し、ダニやウイルスにより大量死と導かれ、CCDが起きるのではないかと推測している。
(報告:運営委員・小椋 和子)
runより:ネオニコチノイド系農薬は毒性の強い有機リン農薬の代わりに開発された物ですが結局毒性は強いわ生態系を狂わすわで本末転倒です。