・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・魚は難燃剤を子孫に伝え、その健康を損なう
情報源:Environmental Health News, Jan 11, 2011
Toxic legacy: Fish pass flame retardants, impaired health to offspring
Synopsis byTamara Tal and Wendy Hessler
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/2011/11/
2012-0110-flame-retardants-fish-offspring/
オリジナル:Yu, L, JCW Lam, Y Guo, RSS Wu, PKS Lam and B Zhou.
2011. Parental transfer of PBDEs and thyroid endocrine disruption in zebrafish.
Environmental Science and Technology http://dx.doi.org/10.1021/es2026592
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訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2012年1月13日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_120111_Toxic_legacy.html
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kamujp/flickr
よく使用される PBDEs と呼ばれる難燃剤に低レベルで曝露した魚は、ほとんど一生この化学物質だけでなく、驚くべきことには関連する毒性影響も一緒に子孫に伝える。
親の健康影響は最小でも、曝露により孵化率が減少し、次世代の甲状腺ホルモン系が変更される。
自然界の野生の魚に起こるであろうことであるが、子孫が親と同じように、同じ低レベル PBDEs に曝露すると影響はもっと悪くなる。『Environmental Science and Technology』誌に発表されたこの研究結果は、PBDE 曝露の毒性影響は野生の魚の次世代の中で拡大するかもしれないことを概括的に示唆している。
この研究は、難燃剤は、子孫がこの化学物質に曝露してもしなくても、次世代に甲状腺ホルモンかく乱を引き起こすことができることを示しているので重要である。
何をしたか?
香港市立大学の研究者等は、DE-71 と呼ばれる商業用難燃剤混合物に3つの異なるレベル(濃度)で卵孵化から成魚になるまでメダカを連続的に5ヶ月間、曝露させた。
3つの濃度である 1、 3 、10 マイクログラム/リットル(μg/L) は、通常の環境中で見られるレベルを模したものである。
研究者等は成魚の体内の難燃剤レベルを測定した。内分泌かく乱の兆候を探すために、研究者等はまた、成魚の血中の甲状腺ホルモン T3 と T4 のレベルを測定した。
いくつかの成魚のペアを清浄な水に移し、繁殖させた。収集された受精卵は二つのグループに分けられた。
ひとつは曝露させないグループであり、子孫は清浄な水の中で育てられた。
研究者等は、胎芽及び孵化した稚魚中の親から受け継いだ難燃剤及び、T3 と T4 のレベルを測定した。
もうひとつのグループは親と同じ、DE-71 の3種類の濃度に曝露させた。
二つのグループは、曝露させた子孫は、清浄な水で育てられ親から受け継いだ化学物質だけに曝露させた子孫と比べて難燃剤に感受性が高いかどうかを調べた。
研究者等は、親と稚魚の生存率と成長率、曝露及び非曝露の 子孫の生存率、成長率を調べた。
彼等はまた、親、及び曝露及び非曝露子孫の脳と肝臓中の遺伝子発現の変化を評価した。