・Q.4:電磁界にはどのような作用があるのですか?
A.4:静電界の中では放電による不快感などを生じます。
静磁界の中で頭を動かすと、めまいや吐き気などを生じることがあります。超低周波電磁界には、体内に電界を生じて閃光などを感じさせる「刺激作用」があります。
高周波電磁界には、温度を上昇させる「熱作用」があります。
【解説】
○ 静電磁界の作用
静電磁界(0Hz)のうち、静電界の生物への影響としては、体表面での電界強度が十分に高い場合、体毛に作用する力や放電(マイクロショック)によって知覚することができます。
その「しきい値」(反応を生じる刺激の最小値)は1 メートル当たり10~45 キロボルト(10~45kV/m)の範囲と考えられています。
このしきい値よりも相当高いレベルでは、不快感や放電に伴う痛みが生じます。
静磁界については、磁束密度が2~4 テスラ(2~4T)を超える強い静磁界の中で頭部を動かすと、めまいや吐き気、金属質の味覚、閃光を感じる場合があることが知られています。
○ 100kHz までの電磁界の作用(刺激作用)
100kHz までの電磁界(超低周波及び中間周波)に生物がばく露されると、体内に電界9が誘導され、頭部の中枢神経系や胴体及び四肢の末梢神経系を刺激します。
これは「刺激作用」と呼ばれます。頭部の中枢神経系での刺激作用の代表的な例として、網膜に生じる閃光現象(視野周辺部に点滅する微弱な光を感じる現象)があります。
この現象のしきい値は10~25Hz で1 メートル当たり50 ミリボルト(50mV/m)と最も低い値となり、これより高い周波数及び低い周波数では急激に上昇します。
この現象は健康への悪影響ではないものの、網膜は頭部の中枢神経系の一部であり、これを回避すれば、脳機能に起きる可能性のある全ての影響が防護されるはずであるという安全側の観点から、このしきい値が国際的なガイドラインの根拠になっています。
末梢神経系の刺激のしきい値は、3kHz 以下では1 メートル当たり4 ボルト(4V/m)で周波数によらずほぼ一定です。
(詳細は p.28「Q.7:国際的なガイドラインとはどのようなものですか?」参照)
9 この電界は「体内誘導電界」または「誘導電界」と呼ばれます。
○ 100kHz を超える電磁界の作用(熱作用)
100kHz を超える電磁界(中間周波及び高周波)に生物がばく露されると、電磁界のエネルギーが吸収され、生体組織を構成する分子のうち極性(プラスとマイナス)を持つもの(水分子やたんぱく質など)が振動し、温度が上昇します。これは「熱作用」と呼ばれます。
電子レンジが食品を加熱するのは、この原理を応用しています。
この作用は高周波電磁界のエネルギー(電力)に比例して増加します。
これまでの研究結果から、高周波電磁界に全身が一様にばく露される場合、体温が1℃程度上昇すると健康への影響を生じること、そのような体温上昇を生じる電磁界の強さ(比吸収率、SAR)は、全身平均で1 キログラム当たり4 ワット(4W/kg)以上であることがわかっています。
また、高周波電磁界に身体の一部が局所的にばく露される場合、局所SAR が1 キログラム当たり100 ワット(100W/kg)を超えると、眼や睾丸など熱に敏感な組織に著しい熱的損傷が起こりうることがわかっています。
(詳細は p.28「Q.7:国際的なガイドラインとはどのようなものですか?」参照)
runより:このパートは結構大事です、電子レンジは軍事レーダー開発中に実験する時だけ研究者のポケットの中でキャンディーが溶けている事に気づいて応用した物です。
人体は感じなかったのにキャンディーが溶けた・・・マイクロ波の力を思い知らされる逸話です。